水痘、水ぼうそうは水痘ウイルスによっておこされ、水疱が髪の中をふくめ全身に200個以上でき、たまらないかゆみと発熱に悩まされる病気です。夏場に多く、またステロイドを服用している場合には死にいたることがある怖い病気です。解熱剤、特にアスピリンや他の解熱鎮痛薬の使用とライ症候群(脳症の一種)の関係で特に注目され、また治癒にいたる免疫機構の面でも解熱剤の使用は禁忌とされています。

実際、川崎氏病で心臓合併症の予防でアスピリンを服用していなければならない乳幼児が水痘にかかり、脳症の発症をさけるためにアスピリンを中止し、心臓の動脈瘤の悪化のリスクをとらざろうえない状況におちいりとても困ることがあります。

もともと水痘ワクチンは日本で開発され、アメリカでも同じものが使用され、1歳以上にうつべきワクチンとして推奨されています。白血病、ネフローゼ症候群の子どもが水痘にかかると、とても重症になり死亡することもよくあり、それの予防のためにと日本で開発された経緯があります。もともと抵抗力の弱い子にうつことを前提にしたワクチンなので、その意味でも安全なワクチンといえます。

白血病、ネフローゼ症候群などの難病のほか、川崎病、喘息、アトピーなどの病気をもっている子どもは、特に優先的にうつべきワクチンです。一部に自然感染の方がよいという意見を持っている人がいますが、全く根拠がありません。唯一の根拠として、ワクチンをうっても水痘にかかることが多いではないか、というものがあります。これにははっきりとしたデータがあり、ワクチンをうった人のうち15%ぐらいは水痘にかかるが、一般に症状は軽症で、ワクチンをうって水痘にかかると水疱は20個、うっていないと200個以上といわれていて、実際そのとおりなのです。またワクチンの接種により帯状疱疹の発症を防ぐことができるともいわれています。またこのワクチンははしかワクチンと同じように2回接種がすすめられています。接種間隔は3ヶ月以上の間隔で接種します。

水痘はまだまだはやっていて、日常よく見かける病気です。親がワクチンを接種しないことを選んだ場合、それは事実上、野生ウイルスの感染を選ぶこと意味するのです。1歳をすぎ麻疹ワクチンを受けたら、次に水痘ワクチンをうけるべきと考えています。

また兄弟が水痘にかかった場合、ウイルスに接してから直後(2日以内が望ましい)にワクチン接種で予防あるいは軽症にすることができますので主治医に相談してください。(参考;日本評論社:予防接種は安全か 日本小児医事出版社:redbook 2000)