お役立ち情報~感染症~

おたふくかぜと難聴の関係と確実な診断法の進歩について?

おたふくかぜが昨年よりはやりつづけています。こどもにとっては風しんよりこわい病気です。とくにやっかいなのは、難聴の合併症が意外に多いことです。それもすぐには気がつかず数年後ときには成人になってはじめて診断されることもすくなくありません。日本では自然に感染したほうがよい、というようなことを平然とのべる医者もいて、予防接種率も低くとても危険な状況です。
 予防接種での問題点は注射をしても抗体の産生(抵抗力)が悪く、80%ぐらいといわれています。従って、ワクチンを接種しているから安心というわけではなく、抗体を測定して、不十分ならもう一度注射が必要です。このようなことからワクチンをうっても同じようにおたふくにかかるという評判がひろまり、接種率を低くしている原因の1つかもしれません。しかし、抗体のしっかりついている子のおたふく風邪は、本当に軽症に経過し、大部分で熱もでません。是非接種してあげてください。また抗体検査希望のかたも是非お申し込みください。
 また最近の院長の研究の結果、ほっぺの腫れがでた時点で血中のおたふくの交代価を2つの方法で測定すると、以前にかかったことがあるとか、ワクチンをうっていたがかかってしまたとか、おたふくウイルス以外による耳下腺炎であるとか、重症になるとかの情報を確実にえることがわかりました。具体的説明の希望があれば、院長に直接お尋ねください。

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水痘の予防について?

水痘が流行っています。特に保育園、幼稚園などで集団発生しています。水痘の自然感染は脳炎などの重症合併症をひきおこし重症になること、なおったあとも帯状疱疹の発症の可能性のあることなどより避けたいものです。万が一予防接種を受けていないで、水痘の人と接した時には、予防方法があるので至急相談してください。予防接種を接触後48時間以内に行う方法、抗水痘薬を通常の1/2の量で接触後1週間後より飲む方法などです。いずれにしても早い対応にこしたことはありません。

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下痢症状をおこす風邪について?

季節によりその原因は大きく異なるが、主としてノロウイルス(昔は小型球形ウイルスと言われました)、ロタウイルス、アデノウイルスなどが知られている。

ノロウイルス
 お年寄りがこのウイルスの集団感染で死亡し有名になった。大人のウイルス性食中毒とくに二枚貝(生牡蠣など)からの感染で、乳幼児にはあまり注目されていなかった。しかし、細胞培養ができないこのウイルスが遺伝子増幅法により糞便から診断可能となった。その結果、下痢症ウイルスとしては10%位ではあるが、乳幼児にも、特に11-12月の初冬に際だって存在することが明らかになった。ロタウイルス感染が軽症化したためか臨床症状でウイルスの鑑別は難しい。特別な治療法は-なく、電解質補給液が用いられる。なぜ冬期に急に乳幼児に発症するか、自然環境での存在様式、嘔吐下痢以外の合併症などまだわからないことが多い。このウイルスの迅速診断が平成19年10月より可能になっている。

ロタウイルス
 別名 白色便性下痢症(白痢)と呼ばれている。臨床症状は嘔吐、下痢、発熱である。 特に乳幼児では、他のウイルス性腸炎に比較し、下痢がひどくなり、脱水で重症化しやすいので注意が必要である。また無熱性痙攣をおこすことも知られている。このように、他の下痢症に比較し重症であり、早期に迅速検査で診断を確定し、早めの食事療法、脱水予防が大切である。本院では、独自に迅速法を考案し、約10分で結論をだし、早期診断により入院をさけるよう努力している。

アデノウイルス
 アデノウイルスには49の血清型があり,多彩な臨床症状を起こす。上気道炎,角結膜炎,胃腸炎の3つが主要症状であり,3,4型と咽頭結膜熱,8型と流行性角結膜炎,40,41型と胃腸炎,11型と出血性膀胱炎の関係がよく知られている。このようにアデノウイルスには種々の型があるが、40,41型アデノウイルスがいわゆる腸管アデノといわれる。ロタウイルスと同様の下痢をきたすが、そのちがいは、簡単にまとめる下の表のようになる。このウイルスはロタウイルスと同様の迅速検査で診断可能である。

種類 好発季節 合併症 平均年齢
ノロウイルス 特に11月から12月 おう吐 全年齢
ロタウイルス 12月から4月 白色便、肝機能障害、痙攣 2歳
アデノウイルス 通年 急性虫垂炎、腸重積 5.2歳

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ノロウイルス感染症について?

ノロウイルスの迅速検査ができるようになりました
平成19年12月よりノロウイルスの迅速検査が可能になっています。また新型ノロウイルスにも対応したものも平成27年12月から使用しています。検体は便を使用します。まだ保険はとおっていません。かかりつけの方には無料で検査しています。 便の量は小豆大のものが必要です。また検査にかかる時間はおよそ30分です。従って遅い時間での受診の場合結果の報告が次ぎの日になることもあるのでご注意ください。現在までの経験では、下痢がはじまってからすぐより、数日たったほうが陽性になる率が高い様です。このようなことより検査でマイナスと判定されても、ノロウイルス感染症を完全には否定できないと思ってください。

ノロウイルス感染症の臨床症状 (国立感染症研究所ウイルス第二部 片山和彦)より引用
ノロウイルスのボランティアへの投与試験の結果から、潜伏期は1~2日であると考えられている。乳児から成人まで幅広く感染するが、一般に症状は軽症であり、治療を必要とせずに軽快する。まれに重症化する例もあり、老人や免疫力の低下した乳児では死亡例も報告されている。嘔気、嘔吐、下痢が主症状であるが、腹痛、頭痛、発熱、悪寒、筋痛、咽頭痛などを伴う こともある。ウイルスは、症状が消失した後も3~7日間ほど患者の便中に排出されるため、2次 感染に注意が必要である。ボランティアのバイオプシー由来の腸管組織を病理組織学的に観察した結果から、ノロウイルスはヒトの空腸の上皮細胞に感染して繊毛の委縮と扁平化、さらに 剥離と脱落を引き起こして下痢を起こすらしいことが明らかになっている。しかしながら、このような現象がどのようなメカニズムによるものなのか、その詳細はまだ不明である。

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手足口病、ヘルパンギーナについて?

暑くなるとはやります。原因は、両方とも大部分がコクサッキーウイルスAによるものです。手足口病とはその名のように、手のひら、足のうら、口の中に小さな水ぶくれができる病気です。以前にかかったことのある子でもまたうつる場合があります。熱はないか、あっても微熱程度ですみます。手足の水ぶくれは痛がりませんが、口の中が痛くて食べられなくなることがあります。ヘルパンギーナは日本語に直すと水疱(ヘルペス)で痛い(アンギーナ)という意味の病気で、38〜40℃の高熱が2〜3日続きます。のどの奥に小さな水ぶくれができて痛いので、食べられなくなります。  これらの病気で家庭で気をつけることは次のことがらです。

1.食べ物 :口の中が痛いときは、かまずに飲み込めるものを与えます。プリン、ゼリー、アイスクリーム、さましたおじや、とうふ、グラタンなどがよいでしょう。
2.水分:十分に水分をとるようにしましょう。オレンジジュースなどすっぱいものはしみます。砂糖を充分加えた紅茶、牛乳や麦茶、みそ汁、ポタージュスープなどがよいでしょう。
3.入浴:高い熱があるときや元気がないとき以外は、がまんする必要はありません。

  このように比較的心配のない病気なのですが、今年になって中国ではやり多数の死亡者をだしている重症なタイプもあるので注意が必要です。これはEV71(エンテロウイルス71)による手足口病で脳に障害を起こしやすいとされていますので、熱が続いたり、おう吐の激しいときには、入院、精査が必要になることもあります。油断せずに安静、経過観察を充分におこなってください。

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RSウイルス感染症とは?

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus RSV)は、乳幼児(特に2歳以下の乳幼児)の肺炎や細気管支炎等の下気道感染症を引き起こす主要なウイルスです。 冬期を中心に、乳幼児に下気道の広範な狭窄を引き起こし,臨床的に喘鳴,努力性呼吸(多呼吸,胸郭陥凹,腹式呼吸など)を特徴とします。獲得免疫が不完全なために再感染が高率にみられ、乳幼児では毎年RSウイルス感染に罹患する症例もみられます。インフルエンザなども同様の症状を引き起こし、関東地方では12月から1月中旬までと流行する時期も重なっているため、よくインフルエンザと間違えられます。
  斉藤小児科内科クリニックでは鼻咽腔からの検体採取により15分程度でそのウイルス同定をおこない、インフルエンザと区別し、適切な治療法を選択する努力を行っています。重症例も少なくなく,特に低出生体重児や先天性心疾患のある患児では致死的経過をとることもあり、要入院の例は少なくありません。ウイルス性感染症なので基本的には保存的治療に限られ、水分の補給を充分に行い、喘息に準じた治療を行います。軽症例では外来にて経過を観察しますが,乳児では分泌物が粘稠になって急速に悪化したり突然無呼吸に陥ることがあるので,入院加療が望ましいとされています。
  最新の報告ではステロイドの内服、吸入で重症化をふせげるのではないかといわれ、当院でも積極的にこの治療をとりいれよい結果をえております。早期診断、早期治療が重要です。

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アデノウイルス感染症とは?

ポイント
咽頭結膜熱や胃腸炎、膀胱炎などを引き起こすアデノウイルス。プール熱とも呼ばれる咽頭結膜熱は、初夏から夏に流行することから、これからの季節に留意したい感染症のーつとれています。迅速検査で適切な診断につなげ不必要な薬剤を回避し、周囲への感染を防ぐとともに親の安心を得ることが大切になります。

ADVの主要症状は上気道炎、咽頭結膜熱、胃腸炎
アデノウイルスは主に呼吸器、結膜、腸管に感染し、咽頭結膜熱や流行性角結膜炎、性膀胱炎、胃腸炎、肺炎など、さまざまな疾患の原因になります(表1)。呼吸器感染では、重症の肺炎を起こしたり、髄膜炎や脳炎などを併発したりすることもまれにあるので、軽症のみではないことを認識する必要があります。
ADVの血清型は現在、50以上あるとされ、疾患の関連性が明らかになっています。例えば、咽頭結膜熱は3、7、11、14、16、21、50型、出血性膀胱炎は11、34、35、55型
などが関与するとされています(表2)。また、ADVの血清型が同じでも、人によって現れる疾患は異なることがあり、ウイルスの体内への侵入部位が関連していると考えられています。
疾患の実際は、高熱でノドに膿がついている上気道炎型、この場合数日後に結膜炎を合併することもあります。胃腸炎型は嘔吐、下痢、白い便で検査をしてADVが検出される型で、ノドにも症状がでてノドの検査でも陽性にでることが大部分です。胃腸炎型の注意点としては腸重積の合併が多く、腸重積になった乳幼児で便の検査でADVがかなりの確率で検出された、という報告があります。したがって下痢の治療でよく処方されるロペミンは使用しません。

プールを介した感染より集団生活、家庭内の感染が主因
ADVは感染力が強く、咳やくしやみなどの飛沫感染だけでなく、汚染された物品(タオルなど)からも簡単に感染します。咽頭結膜熱はプールを介しての感染が多くみられたことから「プーノレ熱」と呼ばれますが、プーノレ水の塩素濃度が保健所の基準値であれば予防できるので、現在では集団生活や家族内での感染が主な原因とされています。咽頭結膜熱の流行のピークは夏期ですが、ADVは1年中活動しているので、高熱が続き、咽頭の発赤、膿などの所見があるものには必ず検査をして確定診断を行います。特に特効薬はないのですが抗生剤の無駄な使用をさけ周囲への伝染を防ぐためです。
かつてADVの診断は、臨床症状で判断していました。発熱症状しか現れていない場合は血液検査など行いましたが、白血球が多かったり、少なくなったり、CRPが強かったり少なかったりするのであまり役に立ちませんでした。近年は簡単な操作で判定が容易に得られる迅速検査法が普及し、診断の補助としてその検査キットが用いられるようになっています。昨今では咽頭結膜熱などは学校感染症に指定されているので、施設側から医療機関で感染の有無を調べるよう、促されているために、子どもの目が充血していると、保護者が子どもをすぐにクリニックへ連れてきて検査を希望なさることが多くなっています。

熱が高くてもADVと分かれば保護者の不安も軽減
クリニックで行う迅速検査は、まず目やになど眼症状があれば目やにからウイルスを検出します。目やにが出ていなければ、目を強く閉じてもらい出てきた涙を綿棒でぬぐいます。眼症状がなければ咽頭に綿棒を挿入しますが、目(結膜)の方が子どもの抵抗が少なく簡単です。咳がなくて発熱がある状態では、まずA群溶血性連鎖球菌(溶連菌)の感染の有無を検査キットで確認し、陰性が示されたらADVの検査を行います。下痢がある場合は、便によりウイルスの同定を行います。迅速検査を行う意義について、ADV感染症は対症療法が主体で感染の有無が分かることで、不必要な抗生剤を使わずに済むこと、またAD胃腸炎なら強い下痢止めによる腸重積の発症を考慮した治療を選択します。高熱が続いていると保護者の方々は非常に心配されるが、ADVならば5日間安静にしていれば必ず治ります。それを説明することで、皆安心してくれます。迅速検査は過度の不安を軽減する役割があります。いろいろな可能性を説明するより、検査の結果、ADVに感染しています、5日間安静にしてください、の二言で済む方が、理解が得やすくなっています。病気の初期に迅速検査を行うと陰性と出てしまうケースもありますが、しかし、ADVの場合、経験上では陰性が示された場合は日を改めて検査してもほぼ陰性になります。

迅速検査が簡単に行われない理由
迅速検査は簡単に行え、結果もすぐに分かります。しかし、3歳児まで包括制(小児科外来診療料)を選択している医療機関では、検査を実施しないところが少なくありません。検査をすることで、その費用が医療機関の持ち出しになるからです。また検査を専門に扱う人員が確保されているかどうかも、検査の実施に影響を及ぼします。検査担当の職員がいなければ、看護師などが他の業務と兼務することになり対応が難しくなります。原則としてはかかりつけのクリニックでの行うべき検査なので親御さんはこの点を留意してください。

最近のトピックスより
パナソニック エコシステムズは食塩水を電気分解して得られる「次亜塩素酸水溶液」から揮発した有効塩素成分が、咽頭結膜熱の原因「アデノウイルス」を99%以上抑制することを確認した。約25平方メートル(約6畳)の空間でテーブルや手すりに付着した同ウイルスに対し、短時間で効果がみられた。食品業界や医療・介護施設では次亜塩素酸を用いた洗浄、除菌、脱臭などの作業が日常的に行われており、そうした室内環境においてアデノウイルスの抑制が期待される。
アデノウイルスに対する有効塩素成分の効果をみるため、回転式除菌フィルターに約10ミリグラム/リットルの次亜塩素酸水溶液を含浸、一定の風をフィルターに当てて有効塩素成分を揮発させた。アデノウイルスを付着させた試料に、有効塩素成分を暴露させる、させない(自然減衰)場合で検証試験を行った。暴露させたものは60分でアデノウイルスを99%以上抑制していたことが分かった。

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インフルエンザ流行時の注意?

1,2月はインフルエンザの季節です。高熱のでる病気=インフルエンザではないので注意が必要です。  咳が強い時には、RSV感染症、メタニューモウイルス肺炎、マイコプラズマ肺炎なども考えられます。また高熱だけの場合は、アデノウイルス感染症、溶連菌感染症、時には髄膜炎のこともあります。したがって、きちんと診断し適切な治療を早期に行うことが大切です。今では昔と違い上記の病気が迅速診断で簡単に診断できる時代になっています。参考 迅速検査を見てください。高熱すなわちインフルエンザと考え、検査もせずに安易に抗インフルエンザ薬で様子をみられ、手遅れになる例が散見されます。くれぐれもご注意ください。

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タミフルを使わないインフルエンザの治療法?

インフルエンザによる脳炎は、インフルエンザウイルスによる高サイトカイン血症によって起こるのではないかとされています。実際インフルエンザの脳炎は大部分が発熱後48時間以内の高熱期におきています。一方治療法としては、シンメトレル、タミフルの内服、リレンザの吸入があります。内服薬のうちシンメトレルはA型インフルエンザしか効かず、そのうえ耐性ウイルスがかなり多く、現在の小児にたいする治療はタミフルが主になっています。実際タミフルは有効な薬剤です。
しかしタミフルの副作用としての中枢神経(脳)への移行が問題になり、とくに1歳未満、また10歳以上の未成年者でも使用を控えるべきという勧告がだされています。しかしこれもおかしな話で脳の発達途上のすべての小児に使用を控えるべきではないでしょうか。インフルエンザによる高熱、インフルエンザによる興奮作用、タミフルによる脳刺激作用が熱性痙攣をおこしたり、時に意識障害をもたらすことがあります。このような観点からより安全で脳炎の発症を防ぐ治療法はないか、と考えていました。その結果、文献を検索しタミフルに頼らない以下のような治療法にたどりつきました。

*小児にたいしてはタミフルを使用せずネブライザーによりリレンザを1日2回吸入する。

 上記の治療を実際行い、興奮作用などの副作用なしに、タミフルと同等以上に有効というという満足すべき結果を得ています。この治療はインフルエンザ治療のスタンダードになるべき治療といえ、当院では2006年より行なっていましたが、今年になりやっと保険では認められるようになったのが実情です。またこの薬剤の不足がこの治療の推進のあしかせになっています。またすべての医療機関でこの治療ができる訳ではないことを念頭においてください。その他不明なことは、看護婦、院長にお尋ねください。

また最近では点滴注射による薬剤も使用できるようになっています。ラピアクタという薬です。小児でも体重15kg以上であれば使用できます。点滴なので30分以上の時間がかかります。新しい薬剤のためか耐性がみられず、大部分でほぼ1日で解熱し、2日以上使用し解熱しない場合は合併症があり、入院する必要があります。
また1回だけの吸入ですむイナビルという薬もあります。吸入が確実にできれば問題ないのですが、うまく吸入できない年少児には効果が悪く、発熱が持続して来院するかたが多いという印象があります。当院ではお勧めしていません。

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マイコプラズマ肺炎、マイコプラズマ感染症について?

マイコプラズマ肺炎、感染症の診断法がかわりつつあります。従来は血中のマイコプラズマIgM抗体を測定、これは菌に対する抵抗力ができているか測定するもので早くても発熱後5日程度にならないと陽性にならないので、迅速検査としては不十分でした。昨年、2013年より、インフルエンザの検査と同じように、のどから抗原(菌そのもの)を検査できるようになりました。検査時間は10分から15分で判定できます。またマイコプラズマ感染=肺炎と考えられていましたが、かならずしも肺炎をおこさないで、熱、咳だけの場合も多いことが明らかになりつつあります。熱がつづいて、喘息でもないのに強い咳がでる子どもには是非この迅速検査をおすすめします。

病原体マイコプラズマとは?
細菌とウイルスの中間的位置に分類され、周囲に細胞壁がないのが細菌との違いで、単独で増殖できる点でウイルスとも異なります。最近の研究では、マイコプラズマ自体は毒素をもっていないことがわかってきました。毒素もないのに炎症を起こす理由は「一種のアレルギー反応」と説明されています。つまり、マイコプラズマが肺壁などに付着すると、人側の方が免疫反応をおこしそれが炎症となるというものです。アレルギー説を裏づけるように、免疫機構の未熟な乳幼児や低下している老人にはこのマイコプラズマ肺炎はないといわれています。逆にいえば、この肺炎になることは免疫機構が正常であることの証明であるともいえます。

マイコプラズマ肺炎とは?
多いのは5~30歳、とくに小、中学生に目立ちます。主な症状は、発熱、せき、たん、のどの痛みなどの「かぜかな」という状態が2~3日続いた後、肺炎に移行する場合がほとんどです。症状のうちせきがひどく、しかも長く続き喘息と間違えられるとが多いのも特徴のひとつです。レントゲンでみれば、簡単に診断できるものもありますが、時に血清学的検査ではじめて診断がつく場合もあります。合併症としては髄膜炎、脳炎、神経根炎などの神経性障害のほか、溶血性貧血、スティブンス・ジョンソン症候群など多彩なものがしられています。



マイコプラズマ感染症とは?
上で述べたように5歳以下の乳幼児ではマイコプラズマに感染しても典型的な肺炎像を示さないで、気管支炎、喘息性気管支炎 の症状だけをしめすことが従来よりいわれてきました。レントゲン検査だけに頼っていたものが、最近の検査の進歩により血中のマイコプラズマIgM抗体が簡単に測定できるようになったことで、より早い段階での診断が可能になっています。このように肺炎像の有無に関係なく、マイコプラズマが原因により、発熱、せきなどの症状をしめすものをマイコプラズマ感染症といいます。

マイコプラズマ肺炎は4年おきに流行する?
流行は不思議なことにほぼ4年おきに見られ、四年周期の原因についてはよくわかっていませんが、「免疫が四年間しか続かないのではないか」と考えられています。感染経路は飛まつ感染で潜伏期は20日と長いので、学校などで流行すると、インフルエンザのような爆発的流行ではなく、だらだらと数ヶ月続き、いつも数人が感染している状態となります。

治療はペニシリン系統の薬は効かない?
治療にはマクロライド系、テトラサイクリン系の薬がつかわれます。ミノマイシンはよく効きますが乳幼児には副作用として、歯牙の色素沈着があるため使用しません。大人の治療には使いますが用量が多いとめまいの副作用があります。細胞壁合成を阻害するペニシリンン系の抗生物質は全く効果がないのがこの病気の大きな特徴です。マイコプラズマには細胞壁そのものがないからです。予防は難しいので、病気を早く見つけて適切な抗生物質をつかうことが、病気を長びかせない最大のポイントです。

マイコプラズマに関する最近の新聞記事

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溶連菌感染症について?

溶連菌感染症がはやっています。ここにきて急に流行りだしました。いきなり高熱がでてインフルエンザを思わせる症状ですが、検査をしてみると溶連菌(+)のことが多いのです。溶連菌感染症は急性腎炎とかリュウマチ熱の合併症があるので、最低10日間の抗生剤服用が必要です。注意しなければならない例としては、高熱がでてインフルエンザの検査で(-)で、咽頭炎だろうということで抗生剤を処方され翌日解熱しそのままで治療が終了してしまう場合です。疑いがある場合は溶連菌の検査を必ずしてもらいましょう。数分で結果のでる検査です。最近の報告によると2歳から7歳の咽頭炎の原因の50%が溶連菌であるとされています。熱で外来を受診しインフルエンザの検査が(-)のとき、先生にひと言、蚊の鳴くような声で「溶連菌ではないですよね」と遠慮深くいってみてください。ギクとして検査をするかもしれません。

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おう吐の場合溶連菌感染症にも注意が必要です?

おう吐がある場合ノロウイルスとかロタウイルスが原因と思われることが多いのですが、注意深くみていると溶連菌感染症によるものが少なくないことが報告されています。2009年の小児科学会でもこのことが報告されています。院長もおう吐で溶連菌が原因で、吐き気止めは不要で溶連菌にたいする抗生剤で短期に回復する例をいくつも経験しています。おう吐の場合溶連菌感染症も念頭において診察してもらうことが大事です。

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病原性大腸菌感染症の流行?

ご存知のように西東京市武蔵野大学にて病原性大腸菌O-157の集団感染があり36名が感染し9名が入院しました。1996年の大規模発生の時は焼肉屋がつぶれてしまったことを思い出します。この時期の下痢は特に注意をお願いします。特に保育園の年少組ではこどもどうしで糞便にさらされる頻度が高いので下痢の時にはきちんと対応することが大切です。集団発生があれば園が休園になることもあることにご注意ください。
病原性大腸菌にはO-157の他に0-26とかの様々の型があります。このなかでベロ毒素を産生するものを腸管出血性病原性大腸菌といい、この感染症は法定伝染病として扱われ感染者は保健所の管理下におかれます。溶血性尿毒素症候群を合併すると死亡することもありとても怖い病気です。フォスミシンという抗生物質が有効ですが、便中の菌の確認には最低4日ぐらいかかり、かつ早期の治療が大切なのでこの時期の下痢の治療には菌の結果を待たずにフォスミシンが使われます。
具体的にはまず便のウイルス(ロタウイルス、アデノウイルス)を調べ、同時に菌を調べます。ウイルスの有無は15分程度で結果が判るので、ウイルスが原因ではない時には病原性大腸菌を考慮しフォスミシンを処方します。同時に食事療法、水分の補給法などの指示の他、脱水がひどい場合は点滴を行ないます。当院ではしつこく体重を測定しますがこのような時の脱水の程度を判定するよい目安となるのです。いずれにしてもこの時期の下痢は特に注意が必要でとにかく早い受診をお願いします。

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突発性発疹について?

生後4~5か月から1歳半ぐらいの赤ちゃんが、高熱を出し続けて3日後ぐらいに解熱し、その後に腹部を中心にあせもの強いような発疹がでる病気です。別名三日熱はしかともいいますが、麻疹、風疹とは全くちがう病気です。ゆるい便と発疹がでる時期にとても機嫌が悪くなるのが特徴です。
  診断には口のなかの永山斑が参考になりますが、高熱で一番こわい髄膜炎を100%否定しなければならないので小児科医が緊張する病気の一つです。採血データ、臨床症状、熱型などを参考にしながら原則として毎日診察しながら経過を追います。ひきつけをおこしやすのも特徴で、初めての熱、初めてのひきつけで救急車のお世話になる代表的な病気です。ヒブワクチンをうっていると、このような時にとても安心していられます。
  原因はヒトヘルペスウイルス6,7型と2種類のウイルスです。したがって理論的には突発性発疹は2回かかっても不思議ではありません。熱が下がり、発疹がでればひとまず安心という病気ですが、ごく稀に脳炎などの合併症や、だるさが目立つこともあり注意が必要です。また最近の報告では突発性発疹の高年齢化がすすんでいるとされています。理由は不明ですが、以前はこの病気は1才未満で88%かかっていたのが、現在は44%と減少しています。昔は赤ちゃんの初めての熱といわれていましたが、現在ではそうでもなくなったようです。また予防接種はこの病気の治癒後約1~2週間の間隔をおいて接種することになっています。

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ロタウイルス胃腸炎とは?

ウイルスが原因の感染性腸炎

ロタウィルス胃腸炎は、乳幼児に多く起こる感染性胃腸炎のひとつで、ロタウィルスというウィルスが原因です。感染性胃腸炎はその原因によってウィルスによるものと、細菌によるものとに分けることができます。胃腸炎の原因ウィルスはロタウィルスの他に、ノロウィルスなどがあります。日本では毎年、冬の前半にノロウィルス、冬の後半から春にかけてロタウィルスによる胃腸炎が流行します。

乳幼児期の胃腸炎では最大級

☆昼間は大丈夫そうでも、夜間に状態が急変することも
ロタウィルス胃腸炎は、乳幼児の胃腸炎の中ではもっともひどくなりやすいことが知られています。こまめに水分を与えているつもりでも、おう吐や下痢がひどいと、水分補給が間に合わなくなったり、赤ちゃんが口から何も受けつけなくなったりします。こうなると、体の小さな赤ちゃんは、急激に脱水が進みますので、すぐに適切な処理をしないと命にかかわることもあるのです。
また、ロタウィルスは、インフルエンザ、突発性発疹に次ぐ、小児の脳炎、脳症の原因であることが報告されています。

初感染時に重症化しやすい

☆5歳までにみんなかかるけれど…
ロタウィルス胃腸炎は、世界中のほぼ全員が5歳までに1度は経験するといわれています。しかし、体が小さいうちに初めて感染すると重症化しやすく、入院による治療が必要になることもあります。日本では、ロタウイルス胃腸炎で入院する小児の3割が0歳児、4割が1歳児です。 一方、ロタウィルスに一度感染すると免疫がつきますので、その後は感染しても胃腸炎の症状は軽くなっていきます。

つらい下痢やおう吐が7日間程度続く

☆根本的な治療はまだありません
白っぽい水のような下痢や激しいおう吐が特徴的なロタウィルス胃腸炎は、他の胃腸炎よりも回復に時間がかかります。
通常、症状がおさまるまで7日間程度必要とされ、この間に繰り返される下痢やおう吐により、脱水を起こしやすくなります。
今のところ、ロタウィルス自体に効く薬はなく、下痢やおう吐を薬で止めることはしません。そのため、ロタウィルス胃腸炎にかかったら、こまめな水分補給で脱水を防ぎ、自然に治っていくのを待つしかありません。

ロタウィルスは感染力が強い

☆手洗いや消毒だけでは防ぎきれません
ロタウィルスは、衛生状態に関係なく世界中のこどもに胃腸炎を起こします。それは、ウィルスの感染力の強さに理由があります。まずロタウィルスは、環境に強く、乾いた場所では約10日間生きています。また石けんや消毒用アルコールにも強いため、塩素系漂白剤や哺乳瓶用の消毒液などでしっかり消毒しなければ死滅しません。
さらに、胃腸炎の症状がおさまった後も約1週間は、何兆個ものウィルスが便中に排出されているといわれています。赤ちゃんなら、わずかな数のウィルスがあれば感染して胃腸炎を起こしますので、保育施設などで、ひとたび誰かが感染すれば、どんなに手洗いや消毒をしていても、全員がロタウィルス胃腸炎にかかってしまうことさえあるのです。

 

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ヒトメタニューモウイルス感染症について

RSウイルス様の咳、呼吸困難、熱が続き、肺炎が疑われるが、レントゲンで異常なく、マイコプラズマでもない病気がはやっています。これはヒトメタニューモウイルス感染症ではないかといわれています。白血球はさほど増加しないのに、血沈、CRPなどの炎症反応が強いのが特徴です。
ヒトメタニューモウイルスはサーズで注目されてから知られるようになってきたウイルスでRSウイルスとよく似たウイルスといわれています。ヒトメタニューモウイルスは1から5歳が最も多く、RSウイルスの初感染よりもおそく、後発季節は3月から6月で丁度今頃流行ります。 特に保育園での流行のほか幼稚園での大規模な流行が特徴です。
迅速検査キットが利用できるようになり、インフルエンザ、RSウイルスでもなく、マイコプラズマでもない咳中心の風邪の場合この病気を疑い検査します。鼻からとった検体をうまく利用し1回の検査でインフルエンザ、RSウイルス、ヒトメタニュウモウイルスの検査ができ、子どもの痛い思いを軽減することができるので、この時期の咳のかぜには是非おすすめします。この検査で陽性になってきちんとした病名がつくと、家族はとても安心して治療に集中できます。治療は咳に対する対症療法が中心になり、中耳炎の合併に注意が必要です。
医療機関の一部にはヒトメタニューモウイルスの診断をしても特効薬はないので診断しても無駄ということで検査をしないところもあります。しかし子どもの喘息の90%以上が、RSウイルス、ヒトニューモウイルスが原因で肺の損傷を生じることによるといわれています。従ってこの疾患の急性期にきちんとした肺の損傷を防ぐ治療をすることにより、長期にわたり喘息として治療を継続することを防ぐことができます。アレルギーを検査してもなく、小学校に入るころには治癒する喘息はこのタイプなのです。子どもを診療していく上で大事なことはかかった病気をその都度できるだけ正確に把握しておくことにより無駄な投薬をできるだけ避けることや、次に起きる発熱などの際に迅速にかつ正確に診断できる診療ではないでしょうか。

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病原性大腸菌感染症について

下痢の時に原因検査のため便検査をおこなうと、病原性大腸菌が検出されることが少なくありません。この菌に感染していると問題になることが2つあります。1つは人に感染すること、時に集団感染をおこすこと、もう1つは感染により溶血性尿毒性症候群(HUS)という致死的な経過をとるものがある、ということです。この2つを区別して正確な理解をしましょう。

この区別のキーワードはヴェロ毒素です。よく世間で騒がれていて時々死亡するので有名なものはヴェロ毒素をだすタイプの腸管出血性大腸菌感染症といわれるものです。これがでると医療機関は直ちに保健所に届けなければなりません。保健所は食中毒として食材の推定、家庭、食堂の食材検査、保育園の場合は保存してある食事(保育園では出した食事の2週間の保存が法的に義務づけられています)の検査を行い感染経路の同定をおこないます。当院でもいままで11例経験し、O-157 8例 O-26 2例 O-165 1例で、焼き肉やさん由来が5例でした。症状は必ずしも血便ではなく、単なる下痢の場合もありました。全例合併症なく完治しています。6、7,8月の下痢は便培養の検査が必要だと考えています。

下痢には感染性のものとして、ウイルス性のもの(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)細菌性のもの(病原性大腸菌、サルモネラ、赤痢、チフスなど)が知られていますが原因が不明、原因が今の検査では判らないものが多数あります。便培養で同定する場合はやくとも3日ぐらいの日数がかかるので、下痢をした場合は早く病院を日中に受診し便検査を行うと同時に食べたもののチェックをメモしておくことをお勧めします。また原因が不明の下痢も多数あるので、病院を受診し原因検査をしてなにも検出されなくとも下痢が続いている場合の集団生活は避けてください。

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川崎病とは

読売新聞より引用

主に4歳以下の乳幼児に好発する原因不明の疾患で、心臓障害により突然死がおこることもある病気です。原因不明(おそらく何らかの感染に対する特異的反応)の理由により全身の血管の炎症が生じている病気とされています。
主な症状
1 5日以上続く発熱
2 眼球結膜の充血
3 口唇の紅潮、いちご舌
4 体の発疹
5 手足末端の症状 急性期 むくみ 回復期 皮がうすくむける
6 頸部のリンパ節の腫れ
ですが、病気を発症してすぐに上記症状がすぐにでてくることはありません。

診療所の小児科医がこの病気を疑うのはまず、数日続く発熱です。そして次に確認するのが目の結膜の充血、BCG部位の発疹、頸部のリンパ節の腫れです。これがそろって出ていればほぼ間違いありませんが、同じような病気には麻疹、風疹、溶連菌感染症などがあります。その区別のために採血し、白血球がかなり増えていて、炎症所見の程度をあらわすCRPを確認し悪ければほぼ間違えありません。発疹は必ずしも早期にはでないこともあります。
この病気は入院が必要です。ガンマグロブリンという血清製剤の大量療法が必要なのと、心臓の血管に動脈瘤という病変ができないかということを確認するためです。大部分の例ではガンマグロブリンが著効し、すっきりと合併症もなく直りますが、心臓合併症の発生が心配なので1年程度は心エコーによる経過観察が必要になります。大分の例では合併症予防のためにアスピリンを長期に服用する必要があります。

予防注射は生ワクチン(麻疹、風疹、水痘、おたふく)は1年間は抗体ができない可能性があるので延期が望ましいが、麻疹、風疹、水痘、おたふくに暴露される危険性が高い場合はワクチンを接種し、更に1年後に再度接種する、とされています。他の不活化ワクチンは延期する必要はありません。特にインフルエンザワクチンはアスピリンを服用している場合は特に優先して接種する必要があります。

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インフルエンザの治療薬

2019年11月現在インフルエンザの治療薬には5種類あり、有効の可能性があるものとして1種類が知られています。
その特徴と使用法についてとりあげてみます。
1 タミフル 錠剤、ドライシロップ
長所 飲み薬で簡単 小さな子どもでも量を調節して使用できる
短所 耐性があり、効かない例が増えてきている B型には特に効きにくい 脳内移行での痙攣などの症状誘発が心配されている
2 リレンザ 吸入薬
長所 非常に効き目がよい タミフルに比較しあまり使用されてないためか耐性がすくない B型にもよく効く 脳内移行をあまり心配 しなくてもよい
短所 パウダー状の吸入剤で吸気と同調させて吸入するので小学校低学年以下ではうまく吸入できない場合が多い そのためにパウダーを生理食塩水にとかしてネブライザーユニットで吸入しなければならないので手間がかかる
3 イナビル バウダー状吸入薬
長所 1回の吸入だけで治療は完了する あまり使用されてないことと新薬なので耐性が少なくうまく吸入できれば効き目はよい
短所 1回の吸入なのでうまく吸入できなければ効果はない 特に小学校低学年以下ではうまくいかないことが多い ヨーロッパではこの薬の効果に疑問があり認可されていないリレンザのようにネブライザーユニットで吸入することが薬の都合でできない
3-2 イナビル 液状吸入薬
2019年発売の新薬です。上記の欠点を補う新製剤です。どうしても翌日には熱を下げたい小学生以下の子どもにはお勧めかもしれない
4 ラピアクタ 注射薬
長所 1回の注射、点滴で非常によく効く 耐性がない 高熱で意識朦朧としていたり脳炎症状などの重篤な例では使用すべき薬剤
短所 最低20分以上の点滴になる 新薬で脳内移行などの副作用については未知数
5 ゾフルーザ 錠剤 2018発売新薬
長所 1回の服用で効く
短所 剤型が錠剤で10kg以上の体重が必要 効かない耐性インフルエンザウイルスが多く、小児科学会では推奨されていない
6 麻黄湯 のみぐすり
長所 漢方薬ということでなんとなく安心感がある
短所 保険での適応ではインフルエンザの初期の症状に使用することとなっている インフルエンザでの有効性についてはいまだ検討中である 子どもでは苦いので飲みにくい

上記の薬剤の特徴を考慮し当院では院長は以下のような方針でインフルエンザの治療をし ています。
重症の場合(痙攣、意識障害、39.5度以上の高熱、異常行動など)受験、仕事の都合で とにかく早く治したい場合ラピアクタの点滴(30分ぐらいかかります)
検査ではっきりとインフルエンザと診断された場合 リレンザの吸入を1日2回 小学校低学年以下のこどもではネブライザーユニットを使用し吸入(吸入器貸出の場合もあり)現状ではこの治療が最も信頼性がある
ワクチンをうっていて家庭内、職場の身近な人が感染し、のどが痛いとか、寒気程度で 熱がない場合 麻黄湯の服用
ワクチンをうっていないで家庭内、職場の身近な人が感染し予防したい場合 抗インフルエンザ薬の予防投薬開始 保険適用では認められていないため、自費で薬代を含め約1万円かかかる

いずれにしても高熱=インフルエンザではないのできちんと検査で確認して治療すること が必要です。

 

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デング熱の診断について

デング熱の簡易診断キットによる診断が可能です。
以下の症状や検査所見がある場合デング熱が疑われます。
約2週間前に蚊に刺された
突然の高熱(大人で38℃以上)
採血で血小板が少ない
以下の症状の2つ以上
発疹、悪心・嘔吐、骨関節痛・筋肉痛、頭痛、白血球減少、点状出血(あるいは血圧測定用のベルトをまいて圧迫し出血斑の有無をみるターニケットテスト陽性、)
これらの所見で疑いがある時に簡易テストを行います。時間は30分以上、自費で20000円です。ただしかかりつけのかたの場合は5000円です。取りあえず上記の方針です。陽性の場合保健所へ届けることになります。

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抗生物質の使用はなるべく避けましょう

 抗生物質の使用により、耐性菌の出現(抗生物質に効かない菌に侵される)、抵抗力がおちたり、腸内細菌がこわされ下痢になったり、アレルギーが発症しやすくなったりします。特に日本では抗生物質の使用量が以上に多いことが指摘されています。尿路感染症、溶連菌感染症、細菌性中耳炎(滲出性中耳炎は抗生物質不要)などのはっきりした理由なしでの抗生剤は止めましょう。使っても最高5日以内にとどめましょう。このようなことを考慮し、当院では以下の様なパンフレットを配布しています。

抗菌剤適正使用に関する説明書
病名:感冒、急性鼻副鼻腔炎、急性咽頭炎、
急性気管支炎、急性下痢症

お子様の疾患は理学的所見、検査所見より細菌性感染症以外の原因で発症していることが考えられます。原因としてウイルス感染症、アレルギー性疾患、下痢症では食物アレルギーも考えられます。従って抗菌剤の使用は必要ありません。
また抗菌剤の使用では腸内細菌叢を育てることができず、下痢症状となる、あるいは免疫機能の低下につながることが報告されています。従って予防的投与を含め、抗菌剤の適応はありません。
今後症状の変化によっては細菌感染症の可能性が否定できない、あるいは細菌による2次的感染症の発症が考えられるときには、適切な抗菌剤を投与することもあります。
症状が遷延化するときにはご来院ください。

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