お役立ち情報~喘息、アレルギー~

気管支喘息、喘息性気管支炎 について?

喘息(気管支喘息、喘息性気管支炎)とは発作性に喘鳴を伴う呼吸困難をくりかえす病気で気道の慢性炎症性疾患であるとされています。とくに2,3歳頃に急速に喘鳴による呼吸困難で入院し喘息と診断され、予後について心配されることが多いので、これを中心にお話したいと思います。最初に結論を話しますが、どんなに重症な喘息でもきちんとした、適切な治療を行えば直ります。一番大切なことは、その子にあった必要十分な治療が行なわれるか、ということに要約されます。
臨床的によく観察していると喘息は5歳ごろまでひどくそれ以後急速に軽くなっていくタイプと、6歳ごろからじわじわと乾いた咳、ヒューヒューという発作を起こし次第に発作がひどくなっていくタイプとに別けられます。5歳未満の発作は軽い風邪などが引き金で、急速に悪化し入院になることが多いののですが、逆に6歳ごろになると軽快することが多いようです。このうち2歳未満でみられるものに、RSウイルス感染やヒトメタニューモウイルスにかかり肺の損傷が残り、風邪などがひきがねになり喘息発作をおこす、ウイルス関連喘息性気管支炎ともいうべきタイプはよく経験します。いずれにしても経験のある年寄りが子供の喘息は学校に行くころにはなおるよ、などというのはこのタイプなのです。
問題なのは6歳すぎからじわじわと悪化するタイプです。この場合は臨床症状、IgEの変化、アレルゲンの種類、変化を参考に、適切な抗アレルギ−薬の選択、気管支拡張薬の増減、吸入療法(インタール、ステロイド、気管支拡張剤)の組み合わせで、思春期までに完治をめざします。一番大切なのはその子に最もあった適切な治療はなにか、ということです。その目安となるものは、毎日自分でやるピークフローメーターによる自身での状態把握と、定期的に行なう呼吸機能検査なのです。子供、親、主治医が一体となって、必要十分な治療を行なえば喘息はなおります。気管支拡張薬のうちテオフィリン系の薬剤は痙攣誘発、興奮作用から特に年少児では使用しなくなってきて、そのかわりにステロイドの吸入が早期から導入される傾向にあります。いずれにしても各種の吸入が喘息治療の中心となっていくでしょう。

喘息性気管支炎 に関する記事

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喘息の吸入療法

雨の季節となり、喘息発作がおおくなってきています。飲み薬より副作用のない確実な治療法としての吸入療法が重要になってきています。夜間の発作、急な発作での救急病院への受診などがある場合はこれからのべる吸入療法をぜひ考えてください。かかりつけのかたには、土、日などの短期間の器械の無料貸し出しもあります。
 喘息の治療の主要なものとして、吸入療法が重視されてきています。テオフィリン系薬剤(テオドールなど)の興奮性、痙攣誘発などの副作用のために、その使用が制限されるようになってきているからです。吸入療法のメリットとしては、効き目がすぐにあらわれること、薬剤が肺に集中するため全身性の副作用がでにくいことのほか、吸入器が手元にあるとすぐ発作に対応できるという心理的な効果があることです。吸入療法の具体的方法について、薬剤の種類、器具の種類をあげながら紹介したいと思います。

ネブライザーによる吸入

パリ・ボーイモバイルS フィリップス ミニ・エリート ユーロゾル
重量 360g 408g 1300g
流量 3.8 L/min 7 L/min 7 L/min
値段 約22000円 約15000円 約10000円
総合 軽い、こわれにくい、パワーやや弱い 軽い、パワー強い、おすすめ 安い、こわれにくい、重い
写真
  豊富な吸入アタッチメントが特徴 プロムナードミニの後継機です とにかく重い

これらの吸入器は自分で充分な深い呼吸ができない小学校低学年以下で使用します。主としてインタール、インタール+メプチン、パルミコート(吸入ステロイド)を吸入します。小学校低学年以上でも強い発作の時には、時間をかけて肺の奥まで充分薬剤をいきわたらせることができるので利用します。


簡易吸入補助器(スペーサー)による吸入

エアロチェンバー インスパイアイース デュオペーサー
マスク型なので自分から吸うことのできない乳幼児にも使える
インタール、メプチン、フルタイド、キュバールなどほとんどの吸入がおこなえる
くわえて吸うタイプなので年長者に使用する
大部分の吸入剤が使えるが一部使用できないものもある、吸うとへっていくのがわかる
マスク型なので自分から吸うことのできない乳幼児にも使える
使えるのは、キュバール、メプチンなどのみ

この吸入方法は上のような器具にガス状の薬剤を噴霧し、それをマスクあるいは吸い口から吸入するものです。特徴としては簡単に持ち運べること、安価であることです。また薬剤もインタール、メプチン、ホクナリンなどのほかステロイド剤の吸入もおこなえます。しかしある程度自分で吸う必要があり、喘息発作がひどい時には上記の電動式加圧ネブライザーのほうがすぐれています。


まとめ

このように吸入療法にもいろいろあり、喘息の重症度、年齢により、器具、薬剤等の選択が必要になります。喘息はもともと長期管理を必要とする慢性の疾患です。また適切な治療により完治する病気です。さいとう小児科内科クリニックでは飲み薬だけに頼らない、もっともその人にあった有効で副作用のない治療法を選択するよう努めています。

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アトピー性皮膚炎、食物アレルギーを防ぐ最新の知見

生後6か月までがポイント
保湿剤での治療は悪化することが多く、部位にあったステロイド外用剤を適切に使用することが重要です。欧米では否定されている保湿剤信仰が日本ではいまだにはびこっているためか、治らないのに塗るだけで安心していることが多いのが現状です。よくならない軟膏、クリームの使用はやめること、皮膚の痒みをなくし、傷をつくらないことをこころがけてください。

食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の関連
食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の原因といまだに信じている人は少なくありません。
事実は逆で乳児湿疹などの皮膚炎により皮膚に傷がつくことによりそこからアレルギー物質が吸収されることが繰り返される結果として食物アレルギーになるというのが最近の見解です。そのためにも6か月までの皮膚の状態を痒みのない、正常な状態にしてあげてください。

ざらざらした肌は必ずしも乾燥しているわけではない
寒くなると皮膚がガサガサしてきますが、必ずしも乾燥が原因ではありません。寒くなり血流が十分でない手足は表皮の炎症をおこし(しもやけ)寒暖の差で痒みが一層ひどくなることはよく経験することです。その時の皮膚はよく見ると切れ目が細かくはしり、結果的にガサガサしてきます。この様な状態の時にワセリンをぬると一時的には良くなったように見えますが次の日には全く前とおなじで、改善していません。炎症をおこしているので炎症を抑える軟膏を使用すると数日で治ります。

ヒルドイド並びにその類似品ではアトピー性皮膚炎、湿疹を治すことはできない
保湿剤として使われているヒルドイド並びにその類似品には湿疹を良くする作用はありません。また軟膏、クリーム、ローションで添加物が異なっているので、注意が必要です。
塗って悪化する場合は大部分がクリーム、ローションで、その共通の添加物はラノリンです。欧米ではラノリンは良く知られたアレルギー物質で注意されていますが、日本では皮膚科の専門医でも知らない医師がいるので、自分で注意することが必要です。化粧品にもよく含まれています。

数年で非ステロイドの今までにない軟膏が市販される予定
いままでに発売されたアトピー性皮膚炎用の非ステロイド軟こうは効き目が充分ではありませんでした。アンダームは皮膚炎を悪化させるということで発売禁止になり、プロトピックは皮膚の刺激が強く、軽症のアトピー性皮膚炎しか効かない印象です。新しい未発売のこの軟膏はリンデロンと同程度の効果がみこまれていて、重症のアトピー性皮膚炎にはステロイド軟膏を併用し、中等度、軽症ではこの軟膏単独での使用でコントロール可能になると思われます。 以上ですが、アトピー性皮膚炎の治療はここ数年でかなり進歩しているのが現状で、いまだに10年以上前の治療に固執し、皮膚炎を改善しない状況を続けている方が少なくないといえるでしょう。積極的な治療を目指してください。  

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喘息の公費負担制度が全年齢に拡大されます

平成20年8月1日から、気管支ぜん息の患者さんに対する医療費助成制度の対象年齢が全年齢に拡大されます。今まで18歳未満だった大気汚染医療費助成制度が年齢のしばりがなくなり、全年齢に拡大されることになりました。これは都民であればだれでも申請可能です。西東京市の場合西東京市役所子ども家庭支援センター母子保健センター(042−438−4038 直通)におたずねください。

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食物アレルギーの負荷テストについて

ご存じのように学校での食物アレルギーの事故を契機に学校、保護者でのこの問題についての興味がおおきくなっています。それに伴い食事アレルギーの指示書、管理指導票の作製依頼は少なくありません。
 問題は不必要な食事制限や逆に必要なのに食事制限がおこなわれていないこと、なのですがその評価は専門家のあいだでも見解がわかれています。現時点では食物アレルギー診療ガイドライン2012が最も標準的なものですが、実際の運営に関しては人により差があるというのが現状です。
 食物アレルギーの食事療法は摂取により症状が出現するのを防ぐためにおこなうもの、と採血データでは陽性である食品を症状がないので摂取を続けていて症状が出現するのを防ぐためにおこなうもの、の2種類を区別しながらの食事指導が必要になります。特に後者の食事指導には一定の見解がないのが実情です。年長のこども、小学生以上では症状が出現するのを防ぐ目的で、幼稚園以下では摂取することにより悪化し症状が出現するようになるのを防ぐ目的でおこなうことが多いようです。

負荷テスト
明らかに特定の食品で蕁麻疹、アナフィラキシー、喘鳴発作などの症状が30分以内に出るものにはテストは行いません。原則としてIgERASTで程度が3以上の食品に対しいままで避けていたり、少量たべたりしても症状がでなかったものに対し行います。外来にて非常に少量からはじめて、30分間隔で増量しながら食品を摂取してもらい、短期間ででる、蕁麻疹、喘鳴発作、アナフィラキシーの有無について観察し、夜間、翌日については家で保護者に症状の有無、湿疹や蕁麻疹などについて報告してもらいます。翌週も同様に先週の安全な量からはじめて同様に増量していきます。安全面を考慮して1つの食品にたいし最低4週間以上かけて負荷テストを行います。

食物アレルギー日記によるチェック
特にアトピー型の食物アレルギーにたいして行います。原則としてIgERASTを参考にして特定の食品がアトピーを悪化させないか、逆に特定の食品をさけることにより改善するかを観察します。ただしこの評価はとてもむずかしいといえます。というのも、判断に主観がはいりやすいこと、アトピーの軟膏治療を並行しておこなう必要があるからです。あたらしい血中TARCという指標を導入しより客観的な評価が可能かどうか、検討中です。
予防的な制限
現時点で特定の食品によりアレルギーがでている人はもちろん制限が必要ですが、まだでていない人に対して将来アレルギーが発現する可能性をみこして制限する方法です。特に小学校入学前の子どもにたいしておこないます。完璧に特定食品を除去するのではなく、アレルギーのレベル、たとえばIgERASTの段階により、量的、質的制限をおこないます。
このようにアレルギーの食事療法といっても、症状、年齢などによりどのように行うのか選択が必要です。指示を受け取った両親もどのようなもとで制限がおこなわれるのか、上記の内容をきちんと把握するようにしましょう。

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重症アトピー性皮膚炎にたいするプロアクティブ療法について

日本ではアトピー性皮膚炎にたいするステロイド療法にたいする忌避が多く、保湿剤、民間療法のアトピービジネス療法がはびこりアトピー性皮膚炎を悪化させる要因となっていて、皮膚科学会などにより何回もこの傾向にたいする警鐘がなされてきています。具体的にも非ステロイド剤の軟膏であるアンダームが使用することにより皮膚炎が悪化する報告が多数報告され(アンダーム皮膚炎)その結果発売禁止になった経過があります。
今回浜松医科大学、国立成育医療センターは、欧米で広くおこなわれているプロアクティブ療法が非常に有効で適切な治療で半年から数年以内で薬を使用せずにすむようになるという報告をしています。
プロアクティブProactive療法
1)初めに約1週間程度かけステロイドの軟膏で皮膚症状を完全に回復させ、次は週に2回位ステロイド軟膏を塗っていると重症のアトピー性皮膚炎が改善します。プロアクティブとはひどくなる前に炎症を抑えてしまうという考え方です。アトピー性皮膚炎はガサガサしているので、皮膚が乾燥している、だからうるおい、脂分を皮膚に与えればいいという日本独特の考え方ではなく、ガサガサしているのは皮膚に炎症があるからであり、炎症を積極的におさえてあげれば、アトピー性皮膚炎は直るという立場で治療をおこなうのが欧米の主流になっています。日本独特のガラパゴス化による保湿剤中心のアトピー性皮膚炎の治療は見直すべき時期になっています。

2)ステロイド軟こうで皮膚症状の改善後、非ステロイドアトピー性皮膚炎治療薬のタクロリムス軟こうを6週間連日塗って再発がないことを確認し、その後タクロリムス軟こうを週に2回予防的に塗っておきます。皮膚の改善度はステロイド軟こうのほうが有効で、タクロリムス軟こうは乳幼児には使用できないことになっています。

3)上記の方法をリアクティブ療法といいアトピー性皮膚炎の症状がでてから軟こうをぬる方法を、リアクティブReactive療法といいます。アトピー性皮膚炎の発疹が出た時だけスデロイドやタクロリムスの塗り薬を塗るリアクティブ療法による治療法よりもプロアクティブ療法のほうが再発が少なく、皮膚の良い状態を維持することが出来て、さらにさらに再発までの期間が長いのが特徴です。

このようにアトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法は悪化する前から治療をすることにより、痒み→掻く→皮膚症状の悪化→痒み→掻く→皮膚症状の悪化→痒みという悪循環を断つことができる有効な治療です。
プロアクティブ

 

プロアクティブ療法

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食物アレルギーの食物制限の指示ついて

2つのパターンがあります。

予防的に制限する場合
特にアトピーなどがひどい場合や2歳未満で特定の食品にたいしてIgERAST試験で陽性に出た場合、今後の臨床症状の悪化やアレルギーマーチの進展を予防する目的で食品の量、加熱程度の差を考慮しながら制限食を指示します。小学校入学前までの乳幼児にはこのケースが多くなります。

アレルギー症状が食事により出現し危険なため制限する場合
小学校以上での対応がこれになります。
臨床症状がありRAST3+以上の場合 負荷テストはせず食事制限
RAST2+以下になったら負荷テストを行い、制限の解除を考慮する。
臨床症状がありRAST1+以上の場合 負荷テストはせず食事制限
RAST(-)になったら、あるいは1年間まったくアレルギー症状がみとめられない場合、負荷テストを行い、制限の解除を考慮する。
臨床症状がありRAST(-)の場合 
アナフィラキシー、喘息発作など重篤な症状が特定の食事でみられる場合は負荷テストはせず食事制限をする。この場合は1年間まったくアレルギー症状がみとめられない場合、負荷テストを行い、制限の解除を考慮する。
軽いじんましん、湿疹の悪化など症状が軽い場合は負荷テストをおこない、原因を確定する。
臨床症状がなくRAST2+以上の場合 負荷テストにより食事制限を決定
特に多項目に陽性所見がある場合は特に危険性のある食品から検査をおこなう。
臨床症状がなくRAST1+の場合は原則として学校での食事制限はせず、家庭内で軽度の制限を指示する。

いずれにしても最低3ヶ月に一度以上の通院が必要で、アレルギーの検査は6ヶ月ごとに行います。
このような方針で食物アレルギーの食事指示を行いますので、日数がかかります。園、学校への入学直前のかけこみ来院での指示はできませんのでご注意ください。給食への対応で、間に合わないこともあり、指示がでるまで給食不可ということになりかねません、くれぐれも対応は早めにお願いします。

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アトピー性皮膚炎の処置は乳児期早期からの治療が大切です

赤ちゃんのほっぺはつるつるして弾力がありマシュマロのようで若干油っぽいのがふつうです。そうです赤ちゃんの肌には細胞内にたっぷりと油が保持されていてそれが正常では皮膚のバリヤー機能をはたしているのです。それがなんらかの原因で皮膚炎をおこすとザザラした感触になり、乾燥肌と表現され保湿剤やワセリンなどで処置されることになり次第にトラブルが多くなる悪循環の一歩がはじまります。 もしこの様な状態になりはじめたら、早期からかゆみのない湿疹のない状態を維持させることが一番大切です。保湿剤やワセリンを使用しても変化がない、悪化するばあいには放置せずに適切な処置に直ちに変更してください。そうすることにより子どもの精神的安定、親の精神的安定、将来の食事アレルギー獲得の危険性の防止という3つのメリットがえられます。

湿疹が不十分な治療で残っていると、眠くなったり、授乳中に顔が痒くなってしまったりしてぐずって、充分な睡眠がとれなかったりします。また手の届くところでは掻くことにより湿疹が悪化しさらに痒みがますという悪循環におちいります。
親は病院をわたりあるいて非ステロイド療法を求めたり、根拠のない民間療法にとびつき湿疹の悪化に悩み、精神的不安定におちいります。
最近では食事アレルギーとアトピー性皮膚炎の関係では食事アレルギーからアトピー性皮膚炎が生じるのではなく、逆にアトピー性皮膚炎を放置することにより食物アレルギーを起こす(経皮膚感作)とされ、乳幼児期早期での皮膚治療が大切であるとされています。
2014-6-4日本経済新聞の記事 アレルギー、皮膚からも 兵庫医科大学 特定タンパク質関与 という記事のなかでこう述べられています。「皮膚が弱い乳幼児は、母親の手やエプロンに残った食べ物に触れるだけで、アレルギー症状を引き起こしやすくなる可能性がある」
経験的にも遅くとも6ヶ月までに皮膚症状をほぼ完璧におさえてあげるとその後の経過はとても良好です。保湿剤はかゆみ、あかみ、ざらざらした炎症のある肌には適していません。とくにプロベトは単に油っぽくなるだけであって、炎症のある肌には不適当です。ぬっていて皮膚症状が改善しないものを漫然と使用するのは止めましょう。ワセリンは軟膏の基剤として用いるものであり、それ自体に治癒効果はありません。ワセリンの実態は以下の様ものです。
ワセリンは石油から得た炭化水素類の混合物を脱色して精製したもの。大部分は、分岐鎖を有するパラフィン(イソパラフィン)および脂環式炭化水素(ジクロパラフィン、ナフテン)を含む。ワセリンという場合、一般的には白色ワセリンを指す事が多い。
あたりまえのことを書いていますが、ステロイド忌避という刷り込みがアトピー性皮膚炎の処置で蔓延しているのが実情です。またこれに便乗したアトピービジネスがいまだにはびこっています。スキンケアと称して石鹸で皮膚の油をとって保湿剤で油をぬるのはどう考えても矛盾しています。皮膚に炎症がおきたときにはしっかりと適切な部位、症状に応じたステロイドをプロアクティブ療法により使用するのがベストです。しっかりと直してあげましょう。

よく聞くこととして、ステロイドを使うとすぐよくなるけれど、やめるとすぐ悪化するとか、ぬってもよくならない、とかの意見があります。この場合の原因は大部分で軟膏使用が不十分なアンダートリートメントによります。軟膏の種類、使用量、期間が適切なら100%満足の結果をえられます。まず種類 顔は弱いもの、体は通常、四肢末端は強いものという原則、軟膏の混合は変質効果があるのでなるべく避けること、使用量 フィンガーティップユニット(FTU)の原則 人差し指の先の1関節の軟膏の量で両手の面積程度、次に期間はプロアクティブ療法 良くなったらすぐ止めないで最低1週間は塗り続けること。以外とこの原則が守られていないで悪化することが多いのでご注意ください。
最後に皮膚が痒くてつらいのは、子どもです。子どもの立場にたって加療(単に保湿剤などを塗って様子をみるようなこと)するのではなく治療(直ること)してあげてください。

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食物アレルギー負荷テストの結果

当院では食物アレルギーの負荷テストを行ってまいりました。ここに今までの結果をご報告いたします。

47例7例(2つの項目で陽性1例)で陽性になっています。
1 卵白 蕁麻疹出現 3例
2 牛乳 蕁麻疹 1例 嘔吐 1例
3 小麦製品(パン、うどん) 蕁麻疹出現1例
4 ピーナッツ 蕁麻疹出現1例
5 くるみ 蕁麻疹出現1例

いずれも症状出現後、ステロイドの内服、外来点滴ですぐに改善しています。そのため負荷テストは午前中に行っています。

 

負荷テストを行う対象
小学校で給食の食事制限が必要かどうかの判断
万が一誤食した時にどういう処置が必要かの決定
以前食べてアレルギー症状が出現していたが、最近では間違って少したべてしまっても症状がでないとか、IgE RASTのデータで改善が認められた場合に対象になります。

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口腔アレルギー症候群(OAS)とは

OASはクラス2食物アレルギーに分類され,アレルゲン感作は花粉などによる経皮膚・粘膜である。花粉と交差抗原性のある生の野菜や果物などの摂取によって口腔・咽頭粘膜症状を呈する。特異的IgE抗体による即時型反応であり,稀に死亡例の報告もある。近年花粉症の増加に伴って増加傾向にある。 OASでは,食物抗原との交差抗原性によりラテックスアレルギーを合併する場合がある。ゴム製品などの使用に注意する。今日の診療プレミアムVol.22 (C)2012 IGAKU-SHOIN
という病気です。

具体的に説明します。
症状 野菜や果物を食べると、口の中、唇やのどにかゆみやイガイガ、ヒリヒリする刺激感などの症状が現れます。ときには、じんましん、消化器症状、花粉症様症状、呼吸器症状、アナフィラキシーを伴うこともあります。

解説 最近増加傾向にあり、花粉症と大きく関係している言われています。原因は花粉と一部の野菜・果物に含まれる蛋白質が似ているためです。発症のきっかけは長期にわたって花粉症の治療を放置していたり、過労や風邪などで抵抗力の低下が引き金になると考えられています。原因となっている花粉の種類によって起こしやすい野菜・果物があり、まずは花粉症の原因物質を調べることが大切です。

検査 OASを起こす可能性のある花粉症と食べ物
スギ ヒノキ → トマト
ブタクサ → メロン、スイカ、キュウリ、ズッキーニ、バナナ
ハンノキ → モモ、リンゴ、サクランボ、ナシ、スモモ、メロン、キウイ、トマト、イチジク、ブドウ
シラカンバ → リンゴ、モモ、キウイ、サクランボ、アーモンド、プラム、ナシ、セロリ、ニンジン、ウイキョウ、ハシバミ(ヘーゼルナッツ)、ジャガイモ
カモガヤ、オオアワガエリなどのイネ科花粉 → メロン、スイカ、キウイ、トマト
ヨモギ → セロリ、パセリ、ニンジン
三菱化学メディエンス パンフレットより引用

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ヒルドイドに関する注意

いわゆる乾燥肌にヒルドイドを塗って悪化している例によく遭遇します。ヒルドイド自体にはアトピー性皮膚炎を治す効力はないこと、ヒルドイド自体でアレルギーを起こす場合があることを念頭においてください。薬剤の説明書にもアトピー性皮膚炎にともなう乾皮症は適応外になっています。また保湿効果も薬剤として認められていません。欧米の文献でも保湿効果については全く認められていない、というのが実情です。アトピー性皮膚炎、非ステロイド治療、乾燥肌にはヒルロイドという図式が出来上がっていて、効果のない例にも使われ続け、その結果皮膚の損傷をきたし、経皮膚感作による食物アレルギーを作り上げてしまうのではないかという考えが最近提起されています。食物アレルギーを食べて直す治療が主流になりつつあることとともに、最近の小児のアレルギーのトピックです。

基本的なことですが、ヒルドイドには3つの種類がありそれぞれ含まれる成分が異なります。ヒルドイドソフト軟膏、ヒルドイドクリーム、ヒルドイドローションの3種類です。とくにクリーム、ローションにはラノリンというアレルギーを起こしやすい物質が含まれているので注意が必要です。

いわゆる乾燥肌といわれているものの大部分は触るとガサガサする状態をさしていて、皮膚が炎症を起こして凸凹しているからなのです。この炎症は寒冷刺激とか、掻くことによる刺激とか、アレルギーなどでおきるものです。もともと乳幼児の肌はしっとりと潤っていて柔らかいものです。無理やり石鹸でもともと存在する皮膚成分ととり、そこに石油成分からつくられた人工物をぬることはよくありません。顔、体は石鹸を使わずに手のひらでお湯だけで洗い、なにもぬらないでください。但し炎症所見より皮膚がガサガサしている状態(あえて乾燥肌とはいいません)では適切な炎症をとる軟膏(ステロイド剤)を使用してプロアクティブ療法により完璧に皮膚の炎症をとってあげてください。
ヒルドイドの適応は痒みも炎症所見のない通常の肌の状態で使用してください。ただし悪化が少しでもみとめられたら、すぐにやめてください。副作用として、カユミ、発赤、発疹が薬剤説明書にも記載されています。当院でもヒルロイドアレルギーと思われる例を今までに8例経験しています。ひどい例では夜ぬって翌日塗った部位全体がひどい湿疹になっています。当院の経験ではありませんが、ヒルロイドクリームをぬって5分後からじんましんが出現し、呼吸困難になった例もあります。この薬剤は世間では医師も含め安全な薬と思われていますが、もっと注意喚起してもいいのではないか、と思っています。またヒルロイドと同じものとしてビーソフテン、ヘパリン類似物質があります。

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気管支喘息のホップ、ステップ、ジャンプ療法について

ご存じのように、気管支喘息の発作には種々の型、重症度があり、体調、天気などで変化し、特に幼稚園以下の幼児では急激に発作が出現し呼吸困難をきたすことがあります。
最近流行っている治療としてはステロイド剤の吸入を早期から導入し、肺、気管支の損傷を早期に修復する、ということがいわれています。この治療の副作用としてはステロイド剤の影響で背が伸びないとか、口腔内のかびの発生があげられます。その他の問題点として、乳幼児の喘息発作の大部分はRSウイルスとかヒトメタニューモウイルスが原因で9割は小学校に入学する頃には完治するものを、無理やりステロイドを使用するのは望ましくない、ともいわれています。
そこで急激に変化する喘息発作に対し夜間、休日をふくめどの様に対応していくか、が問題になります。発作頻度が少ないのに毎日ステロイドを吸入するとか、咳も発作もないのに気管支拡張剤を使用するのは、確かに発作を抑え込むには有効かもしれませんが、副作用の観点からも過剰治療になります。この点を考慮したのがホップ、ステップ、ジャンプ療法です。

まず、ホップの治療 発作が起りやすい梅雨どき、台風の接近、激しい運動など条件のときは予防主体の飲み薬 抗ロイコトルエン剤(オノン、キプレス、シングレア)単独か気管支拡張剤(ホクナリン、テオドール)の併用を毎日服用 大人ではアドエアーなどの定期吸入

ステップの治療 咳発作、喘鳴発作が出現した時 咳止めや気管支拡張剤の併用

ジャンプの治療 吸入療法の導入、ステロイド剤の服用、点滴をおこなう

これらの治療の選択の区別はハウスダスト、ダニ抗原の出現の有無 夜間の発作程度 咳だけかあるいは上半身を起こしてゼイゼイするか 日中の発作状態 朝だけ咳き込んで自然におさまるか、全く咳がないのに運動すると発作がはじまるか 天気との連動性があるか 雨と関連して発作があるか など これらの要素を加味しながら決定します。
 お子様の状態が現在どのような状態なのか、治療ステップはどの段階なのか受診のたびに常に把握しておくことが大切です。

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アトピー性皮膚炎、慢性湿疹の治療の大原則

以下の項目を満たしていればキレイになおります。

ぬってもよくならない軟こうはぬらない。
よく、保湿剤だけをぬってよくならない、悪化しているのに漫然とぬってひどい状態になっている場合が少なくありません。あたりまえのことですが、ぬってよくなるものをぬりましょう。また保湿剤のなかにはラノリンなどのアレルギーを含むものもあります。ラノリンを含む保湿剤をやめるだけできれいになることもあります。注意しましょう。

混ぜてある軟膏はぬらない。
2種類以上の軟膏あるいはクリームを混ぜているものはぬらない。問題点はいくつかあります。まず細菌汚染の可能性、わざわざチューブにはいって細菌汚染のリスクをさけているのに、わざわざ別の容器にとりだして細菌といっしょに混ぜ合わせていることになります。混ぜ合わせることによる化学的変化、二種類の化学物質をまぜることにより不明の化学的変化がおきています。混ぜることにより効果が異常に弱くなったり、逆に強くなったりするといわれています。ひどい場合には軟膏とクリームが混ぜられていて、油と水に分離している場合もあります。混ぜてある軟膏を処方する意味として考えられる効果としては、軟膏の量を多くしてたっぷりと塗ることができることにあります。たっぷり塗ることはとても大事なことですが、チューブから直接だして塗るようにしましょう。混ぜてある軟膏の処方は日本独特のもので、保険制度に原因があると考えられます。

よくなってもすぐやめない。
よくなるとすぐやめるとすぐアトピー性皮膚炎は再燃します。やめてすぐ再燃し軟膏をぬることを繰り返す治療をリアクティブ療法といいます。よくなってもすぐやめないで最低3日ぐらい続けてぬり、完璧になおす方法をプロアクティブ療法といいます。この方法でも再燃はみられますが、悪くなる間隔が次第に長くなっていきます。これがとても大切です。

きずをつくらない
アトピーが一見なおっているようにみえてもまだ不十分でカユミがのこっていることがあります。かゆみが残っていると掻くことにより皮膚にきずがつき、そこから食物抗原をとりこみ感作がおきてしまいます。最近はこの経皮膚感作の予防がとても重視されています。ひっかき傷などをつくらないようにスキンケアをしてください。

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