ポリオ生ワクチンの副作用が問題になっています。(2010年3月読売新聞特集記事、2010年7月NHK ニュースウオッチ9)
1950年代後半に日本ではポリオが大流行し1960年には届け出が5000人をこえ、その大部分は子どもでした。このため1961年ソヴィエト連邦、カナダから生ワクチンを緊急輸入に全国一斉投与し流行は終焉した、という経過があります。
このようにポリオのワクチン接種は必要ですが、ワクチンにより実際ポリオにかかり麻痺の障害を一生涯かかえなければならない例がほぼ1年に1人程度の頻度で発生しています。この副作用をさけるために先進国では生ワクチン(OPV)を不活化ワクチン(IPV)に変えてきたという経過があります。日本でもこの問題について取り組んではいますが、国内生産にこだわっているのと、メーカーの開発費不足のため、いまだに接種開始のめどはたっておらず、常に現時点から約3年程度という返事が繰り返されていて、先進国としては例外的な存在になっています。このように不活化ポリオワクチンは副作用の問題からも有利ですが、生ワクチンを投与された子どもの便中にポリオウイルスが排出され、周囲が感染する、特に今問題になっている抗体の低下している両親が発症する、ことを防ぐというメリットもあります。
この様な状況の中、やっと平成24年9月から不活化ワクチンの認可がおりました。これは当院で輸入してしようしていたもの同じものでサノフィパスツール社のソークワクチンです。
実際の接種
日本での接種は今後導入される4種混合ワクチン(DPT+ポリオ不活化)を念頭に計画されているヨーロッパ方式です。3種混合ワクチン(DPT)と同じ、または同時接種でおこないます。
基本的には4回の接種が必要です。
対象年齢 生後3ヵ月から90ヵ月まで
接種方法 1期初回接種 20日から56日までの間隔をおいて3回皮下に注射(3週から8週の間隔で3回)
1期追加接種 初回接種終了後6ヶ月以上の間隔をおいて1回皮下に注射(初回接種後6ヶ月以上の間隔でもう1回、不活化ワクチンなので間隔が長くあいても問題なし、アメリカでは4歳すぎ、ヨーロッパでは1歳すぎとなっている)ただし、日本ではまだ追加接種にあたってのワクチンの認可がまだなので接種は平成25年9月からの予定です。
したがって当院ですでにポリオ不活化ワクチンの1期初回接種を3回すましているかたは
①追加接種のワクチンの認可がおりてからやる
②1年以上へていれば任意接種として接種する
いずれにしても相談しながら接種します。
標準的な接種方法(三種混合ワクチンと同じで、同時接種、四種混合ワクチンDPT+ポリオを考慮しています)
1期初回接種 生後3ヶ月~生後12ヶ月に達するまでの期間
1期追加接種 1期初回接種終了後6ヶ月以上の間隔をおいて1回皮下に注射
生ポリオワクチンを1回接種した人は不活化ポリオを3回接種する。
上記定期接種以外の場合
7から18歳の小児 4週間以上の間隔で3回接種
またこのワクチンは野生株ポリオウイルスに接触する危険性が高い成人にも接種が推奨されています。