アトピー性皮膚炎・食物アレルギーを防ぐ最新の知見
生後6か月までがポイント
保湿剤での治療は悪化することが多く、部位にあったステロイド外用剤を適切に使用することが重要です。欧米では否定されている保湿剤信仰が日本ではいまだにはびこっているためか、治らないのに塗るだけで安心していることが多いのが現状です。よくならない軟膏、クリームの使用はやめること、皮膚の痒みをなくし、傷をつくらないことをこころがけてください。
食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の関連
食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の原因といまだに信じている人は少なくありません。
事実は逆で乳児湿疹などの皮膚炎により皮膚に傷がつくことによりそこからアレルギー物質が吸収されることが繰り返される結果として食物アレルギーになるというのが最近の見解です。そのためにも6か月までの皮膚の状態を痒みのない、正常な状態にしてあげてください。
ざらざらした肌は必ずしも乾燥しているわけではない
寒くなると皮膚がガサガサしてきますが、必ずしも乾燥が原因ではありません。寒くなり血流が十分でない手足は表皮の炎症をおこし(しもやけ)寒暖の差で痒みが一層ひどくなることはよく経験することです。その時の皮膚はよく見ると切れ目が細かくはしり、結果的にガサガサしてきます。この様な状態の時にワセリンをぬると一時的には良くなったように見えますが次の日には全く前とおなじで、改善していません。炎症をおこしているので炎症を抑える軟膏を使用すると数日で治ります。
ヒルドイド並びにその類似品ではアトピー性皮膚炎、湿疹を治すことはできない
保湿剤として使われているヒルドイド並びにその類似品には湿疹を良くする作用はありません。また軟膏、クリーム、ローションで添加物が異なっているので、注意が必要です。
塗って悪化する場合は大部分がクリーム、ローションで、その共通の添加物はラノリンです。欧米ではラノリンは良く知られたアレルギー物質で注意されていますが、日本では皮膚科の専門医でも知らない医師がいるので、自分で注意することが必要です。化粧品にもよく含まれています。
数年で非ステロイドの今までにない軟膏が市販される予定
いままでに発売されたアトピー性皮膚炎用の非ステロイド軟こうは効き目が充分ではありませんでした。アンダームは皮膚炎を悪化させるということで発売禁止になり、プロトピックは皮膚の刺激が強く、軽症のアトピー性皮膚炎しか効かない印象です。新しい未発売のこの軟膏はリンデロンと同程度の効果がみこまれていて、重症のアトピー性皮膚炎にはステロイド軟膏を併用し、中等度、軽症ではこの軟膏単独での使用でコントロール可能になると思われます。 以上ですが、アトピー性皮膚炎の治療はここ数年でかなり進歩しているのが現状で、いまだに10年以上前の治療に固執し、皮膚炎を改善しない状況を続けている方が少なくないといえるでしょう。積極的な治療を目指してください。