夜間・休日に具合が悪くなって緊急に病院を受診する目安について

単に発熱だけの場合はまず翌日までまったほうがいいと思います。緊急での検査は原則行わないことが多いからです。ほとんどの病気は翌日まで待ってきちんと検査などを行ってから薬をもらってください。よくある困る例として溶連菌感染症があります。発熱で受診、ノドが赤いね、抗生剤を処方します、といわれ薬を飲んでから、翌日受診。するとかかりつけで検査し溶連菌が検出されず(抗生剤で菌が少なくなっている)原因が不明になってしまう、ことが少なくないからです。実際、緊急病院で夜間診療をおこなっていると、解熱剤程度で経過観察し、翌日、かかりつけできちんと時間をかけ検査、治療をおこなったほうが結果的にいいことが多いからです。
東京都こども医療ガイドなどの色々な案内がありますが、症状からみた緊急度のチェックから緊急受診すべきかどうか保育者が判断するようになっています。実際使用してみると本当にこどもの状態が悪いときに、冷静に判断できるかどうか大いに疑問です。ここでは逆の発想で小児科医の立場からみた緊急受診の必要とする病気を考えてみました。参考にしてください。

細菌性髄膜炎

HIB、肺炎球菌ワクチンを接種している場合(最低2回)はまず心配ありません。生後4ヶ月未満の発熱はこの病気の可能性があり、緊急受診してください。場合により入院になります。 脳炎 典型的なものはインフルエンザ脳炎です。インフルエンザ発症48時間以内に集中します。目がうつろだったり、変なことをしゃべるとか、とにかくいつもと違うかどうかよく観察してください。高熱でうなされるような時は熱が上がる時に一時的で継続しません。異常な感じが持続する場合には緊急受診してください。

腸重積

大部分が2歳未満です。嘔吐と血便が主症状です。血便は最初からでるわけではなくあとになってでてくることが多いので注意が必要です。まず浣腸をしてください。少しでも血液がまじっていれば緊急受診してください。アデノウイルス腸炎では腸重積がよくおきるので、下痢の時には便の検査をすることも大切です。またロペミンなどの強い下痢どめで腸重積のリスクが高まるので急性期に使用しないほうが安全です。ロペミンの薬剤添付文書には「6ヶ月未満使用禁忌、6ヶ月から2歳までは麻痺性イレウス(腸重積)をおこすことがある」、との注意書きがあります。

喘息様発作

ヒーヒーと音がする、顔色が紫、息を吸うのが苦しそうでゼーゼーいう、寝ると苦しくなり起きてしまう、この場合は経過をみてもよくなりません。時に窒息してしまうこともあります。すぐに受診し吸入、点滴などの処置をうけましょう。特に一般的な喘息発作は高熱を伴うことはないのですが、RSウイルスやヒトメタニューモウイルス感染ではいきなり高熱と呼吸困難がくることがあり緊急の処置が必要です。慢性疾患としての喘息がある場合はこういう場合の家で行える吸入などの処置をあらかじめ用意しておくことが大切です。

嘔吐・下痢

嘔吐だけでは基本的に心配ありません。嘔吐をおこして怖い病気は前述の腸重積、急性虫垂炎です。これはすぐに処置が必要です。いずれも腹部の痛みが尋常ではなく、またなにも飲ませないのに吐き続けるので病院を受診せざるをえない状態になります。びっくりするのは嘔吐して直後に顔が真っ青になることがあります。これは低血糖によるもので30分ぐらいたつと自然におさまります。吐いたときには焦らずに2時間ぐらいたってから、子ども用電解質液(OS1とかアクアライト)大きい子には紅茶に砂糖をいれて甘くしたものを50mlから100ml(コップ4分の一から半分程度)飲ませてみてください。これでおさまるようなら翌日まで待ってかかりつけに受診してください。以外とこわいのが下痢です。例えば朝から下痢が10回以上続きぐったりしているような場合は脱水があります。その場合は点滴が必要になるのでまず入院を覚悟して緊急受診しましょう。

ケイレン

初めてのケイレンは緊急受診しましょう。注意すべきは寒気とケイレンを混同することがあるので注意しましょう。ケイレンでは目の動きが異常になっていて、ほとんどが1分ぐらいの経過で、はじめピクピク、時には手足をつっぱる場合とカクカクする場合があります。終わるとちょっとの間、息をとめます。熱性けいれんとわかっている場合は2回目の予防のためにダイアップという座薬をいれます。熱性けいれんで死ぬことはありません。おきたらまず救急車をよび、時計をみてじっと何分続くか観察してください。

誤飲

誤飲で一番多いのはシロップの薬です。こどもが勝手に冷蔵庫からだしてゴクンと飲んでしまうのです。特に危険な薬剤は気管支拡張薬で吸収が早いので一刻も早い処置が必要です。原則気管支拡張薬はシロップの形でもらわないようにしてください。シロップのお薬は誤飲する可能性があるのでこどもの手に届かないところでの保存にこころがけてください。その他の誤飲については電話での問い合わせが無料で可能です。 ・日本中毒情報センター 大阪中毒110番(365日、24時間対応)072-727-2499 
・つくば中毒110番(365日、9:00~21:00)029-852-9999
・たばこ専用電話(365日、24時間対応)072-726-9922

小児科の医師はこのようなことを考えて救急診療をしています。いずれにしてもHIB、肺炎球菌ワクチンを接種していると時間外の救急でこわい病気は否定できるので、ちょっと気になることがあると採血検査ですぐ処置が必要か、明日まで経過を追ったほうがいいのか判定することができます。参考にしてください。

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