タミフルを使わないインフルエンザの治療法

インフルエンザによる脳炎は、インフルエンザウイルスによる高サイトカイン血症によって起こるのではないかとされています。実際インフルエンザの脳炎は大部分が発熱後48時間以内の高熱期におきています。一方治療法としては、シンメトレル、タミフルの内服、リレンザの吸入があります。内服薬のうちシンメトレルはA型インフルエンザしか効かず、そのうえ耐性ウイルスがかなり多く、現在の小児にたいする治療はタミフルが主になっています。実際タミフルは有効な薬剤です。
しかしタミフルの副作用としての中枢神経(脳)への移行が問題になり、とくに1歳未満、また10歳以上の未成年者でも使用を控えるべきという勧告がだされています。しかしこれもおかしな話で脳の発達途上のすべての小児に使用を控えるべきではないでしょうか。インフルエンザによる高熱、インフルエンザによる興奮作用、タミフルによる脳刺激作用が熱性痙攣をおこしたり、時に意識障害をもたらすことがあります。このような観点からより安全で脳炎の発症を防ぐ治療法はないか、と考えていました。その結果、文献を検索しタミフルに頼らない以下のような治療法にたどりつきました。

*小児にたいしてはタミフルを使用せずネブライザーによりリレンザを1日2回吸入する。

上記の治療を実際行い、興奮作用などの副作用なしに、タミフルと同等以上に有効というという満足すべき結果を得ています。この治療はインフルエンザ治療のスタンダードになるべき治療といえ、当クリニックでは2006年より行なっていましたが、今年になりやっと保険では認められるようになったのが実情です。またこの薬剤の不足がこの治療の推進のあしかせになっています。またすべての医療機関でこの治療ができる訳ではないことを念頭においてください。その他不明なことは、看護婦、院長にお尋ねください。

また最近では点滴注射による薬剤も使用できるようになっています。ラピアクタという薬です。小児でも体重15kg以上であれば使用できます。点滴なので30分以上の時間がかかります。新しい薬剤のためか耐性がみられず、大部分でほぼ1日で解熱し、2日以上使用し解熱しない場合は合併症があり、入院する必要があります。
また1回だけの吸入ですむイナビルという薬もあります。吸入が確実にできれば問題ないのですが、うまく吸入できない年少児には効果が悪く、発熱が持続して来院するかたが多いという印象があります。当クリニックではお勧めしていません。

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