マイコプラズマ肺炎・マイコプラズマ感染症について

マイコプラズマ肺炎、感染症の診断法がかわりつつあります。従来は血中のマイコプラズマIgM抗体を測定、これは菌に対する抵抗力ができているか測定するもので早くても発熱後5日程度にならないと陽性にならないので、迅速検査としては不十分でした。昨年、2013年より、インフルエンザの検査と同じように、のどから抗原(菌そのもの)を検査できるようになりました。検査時間は10分から15分で判定できます。またマイコプラズマ感染=肺炎と考えられていましたが、かならずしも肺炎をおこさないで、熱、咳だけの場合も多いことが明らかになりつつあります。熱がつづいて、喘息でもないのに強い咳がでる子どもには是非この迅速検査をおすすめします。

病原体マイコプラズマとは?

細菌とウイルスの中間的位置に分類され、周囲に細胞壁がないのが細菌との違いで、単独で増殖できる点でウイルスとも異なります。最近の研究では、マイコプラズマ自体は毒素をもっていないことがわかってきました。毒素もないのに炎症を起こす理由は「一種のアレルギー反応」と説明されています。つまり、マイコプラズマが肺壁などに付着すると、人側の方が免疫反応をおこしそれが炎症となるというものです。アレルギー説を裏づけるように、免疫機構の未熟な乳幼児や低下している老人にはこのマイコプラズマ肺炎はないといわれています。逆にいえば、この肺炎になることは免疫機構が正常であることの証明であるともいえます。

マイコプラズマ肺炎とは?

多いのは5~30歳、とくに小、中学生に目立ちます。主な症状は、発熱、せき、たん、のどの痛みなどの「かぜかな」という状態が2~3日続いた後、肺炎に移行する場合がほとんどです。症状のうちせきがひどく、しかも長く続き喘息と間違えられるとが多いのも特徴のひとつです。レントゲンでみれば、簡単に診断できるものもありますが、時に血清学的検査ではじめて診断がつく場合もあります。合併症としては髄膜炎、脳炎、神経根炎などの神経性障害のほか、溶血性貧血、スティブンス・ジョンソン症候群など多彩なものがしられています。

マイコプラズマ感染症とは?

上で述べたように5歳以下の乳幼児ではマイコプラズマに感染しても典型的な肺炎像を示さないで、気管支炎、喘息性気管支炎 の症状だけをしめすことが従来よりいわれてきました。レントゲン検査だけに頼っていたものが、最近の検査の進歩により血中のマイコプラズマIgM抗体が簡単に測定できるようになったことで、より早い段階での診断が可能になっています。このように肺炎像の有無に関係なく、マイコプラズマが原因により、発熱、せきなどの症状をしめすものをマイコプラズマ感染症といいます。

マイコプラズマ肺炎は4年おきに流行する?

流行は不思議なことにほぼ4年おきに見られ、四年周期の原因についてはよくわかっていませんが、「免疫が四年間しか続かないのではないか」と考えられています。感染経路は飛まつ感染で潜伏期は20日と長いので、学校などで流行すると、インフルエンザのような爆発的流行ではなく、だらだらと数ヶ月続き、いつも数人が感染している状態となります。

治療はペニシリン系統の薬は効かない?

治療にはマクロライド系、テトラサイクリン系の薬がつかわれます。ミノマイシンはよく効きますが乳幼児には副作用として、歯牙の色素沈着があるため使用しません。大人の治療には使いますが用量が多いとめまいの副作用があります。細胞壁合成を阻害するペニシリンン系の抗生物質は全く効果がないのがこの病気の大きな特徴です。マイコプラズマには細胞壁そのものがないからです。予防は難しいので、病気を早く見つけて適切な抗生物質をつかうことが、病気を長びかせない最大のポイントです。

※ 日本経済新聞の記事を参考にしてください(PDF)

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