病原性大腸菌感染症の流行

ご存知のように西東京市武蔵野大学にて病原性大腸菌O-157の集団感染があり36名が感染し9名が入院しました。1996年の大規模発生の時は焼肉屋がつぶれてしまったことを思い出します。この時期の下痢は特に注意をお願いします。特に保育園の年少組ではこどもどうしで糞便にさらされる頻度が高いので下痢の時にはきちんと対応することが大切です。集団発生があれば園が休園になることもあることにご注意ください。

病原性大腸菌にはO-157の他に0-26とかの様々の型があります。このなかでベロ毒素を産生するものを腸管出血性病原性大腸菌といい、この感染症は法定伝染病として扱われ感染者は保健所の管理下におかれます。溶血性尿毒素症候群を合併すると死亡することもありとても怖い病気です。フォスミシンという抗生物質が有効ですが、便中の菌の確認には最低4日ぐらいかかり、かつ早期の治療が大切なのでこの時期の下痢の治療には菌の結果を待たずにフォスミシンが使われます。

具体的にはまず便のウイルス(ロタウイルス、アデノウイルス)を調べ、同時に菌を調べます。ウイルスの有無は15分程度で結果が判るので、ウイルスが原因ではない時には病原性大腸菌を考慮しフォスミシンを処方します。同時に食事療法、水分の補給法などの指示の他、脱水がひどい場合は点滴を行ないます。当クリニックではしつこく体重を測定しますがこのような時の脱水の程度を判定するよい目安となるのです。いずれにしてもこの時期の下痢は特に注意が必要でとにかく早い受診をお願いします。

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