病原性大腸菌感染症について

下痢の時に原因検査のため便検査をおこなうと、病原性大腸菌が検出されることが少なくありません。この菌に感染していると問題になることが2つあります。1つは人に感染すること、時に集団感染をおこすこと、もう1つは感染により溶血性尿毒性症候群(HUS)という致死的な経過をとるものがある、ということです。この2つを区別して正確な理解をしましょう。

この区別のキーワードはヴェロ毒素です。よく世間で騒がれていて時々死亡するので有名なものはヴェロ毒素をだすタイプの腸管出血性大腸菌感染症といわれるものです。これがでると医療機関は直ちに保健所に届けなければなりません。保健所は食中毒として食材の推定、家庭、食堂の食材検査、保育園の場合は保存してある食事(保育園では出した食事の2週間の保存が法的に義務づけられています)の検査を行い感染経路の同定をおこないます。当クリニックでもいままで11例経験し、O-157 8例 O-26 2例 O-165 1例で、焼き肉やさん由来が5例でした。症状は必ずしも血便ではなく、単なる下痢の場合もありました。全例合併症なく完治しています。6、7,8月の下痢は便培養の検査が必要だと考えています。

下痢には感染性のものとして、ウイルス性のもの(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)細菌性のもの(病原性大腸菌、サルモネラ、赤痢、チフスなど)が知られていますが原因が不明、原因が今の検査では判らないものが多数あります。便培養で同定する場合はやくとも3日ぐらいの日数がかかるので、下痢をした場合は早く病院を日中に受診し便検査を行うと同時に食べたもののチェックをメモしておくことをお勧めします。また原因が不明の下痢も多数あるので、病院を受診し原因検査をしてなにも検出されなくとも下痢が続いている場合の集団生活は避けてください。

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