インフルエンザの治療薬
2019年11月現在インフルエンザの治療薬には5種類あり、有効の可能性があるものとして1種類が知られています。
その特徴と使用法についてとりあげてみます。
タミフル 錠剤、ドライシロップ
【長所】 飲み薬で簡単 小さな子どもでも量を調節して使用できる
【短所】 耐性があり、効かない例が増えてきている B型には特に効きにくい 脳内移行での痙攣などの症状誘発が心配されている
リレンザ 吸入薬
【長所】 非常に効き目がよい タミフルに比較しあまり使用されてないためか耐性がすくない B型にもよく効く 脳内移行をあまり心配 しなくてもよい
【短所】パウダー状の吸入剤で吸気と同調させて吸入するので小学校低学年以下ではうまく吸入できない場合が多い そのためにパウダーを生理食塩水にとかしてネブライザーユニットで吸入しなければならないので手間がかかる
イナビル バウダー状吸入薬
【長所】 1回の吸入だけで治療は完了する あまり使用されてないことと新薬なので耐性が少なくうまく吸入できれば効き目はよい
【短所】 1回の吸入なのでうまく吸入できなければ効果はない 特に小学校低学年以下ではうまくいかないことが多い ヨーロッパではこの薬の効果に疑問があり認可されていないリレンザのようにネブライザーユニットで吸入することが薬の都合でできない
イナビル 液状吸入薬
2019年発売の新薬です。上記の欠点を補う新製剤です。どうしても翌日には熱を下げたい小学生以下の子どもにはお勧めかもしれない
ラピアクタ 注射薬
【長所】 1回の注射、点滴で非常によく効く 耐性がない 高熱で意識朦朧としていたり脳炎症状などの重篤な例では使用すべき薬剤
【短所】 最低20分以上の点滴になる 新薬で脳内移行などの副作用については未知数
ゾフルーザ 錠剤 2018発売新薬
【長所】 1回の服用で効く
【短所】 剤型が錠剤で10kg以上の体重が必要 効かない耐性インフルエンザウイルスが多く、小児科学会では推奨されていない
麻黄湯 のみぐすり
【長所】 漢方薬ということでなんとなく安心感がある
【短所】 保険での適応ではインフルエンザの初期の症状に使用することとなっている インフルエンザでの有効性についてはいまだ検討中である 子どもでは苦いので飲みにくい
上記の薬剤の特徴を考慮し当クリニックでは院長は以下のような方針でインフルエンザの治療をしています。
重症の場合(痙攣、意識障害、39.5度以上の高熱、異常行動など)受験、仕事の都合で とにかく早く治したい場合ラピアクタの点滴(30分ぐらいかかります)
検査ではっきりとインフルエンザと診断された場合 リレンザの吸入を1日2回 小学校低学年以下のこどもではネブライザーユニットを使用し吸入(吸入器貸出の場合もあり)現状ではこの治療が最も信頼性がある
ワクチンをうっていて家庭内、職場の身近な人が感染し、のどが痛いとか、寒気程度で 熱がない場合 麻黄湯の服用
ワクチンをうっていないで家庭内、職場の身近な人が感染し予防したい場合 抗インフルエンザ薬の予防投薬開始 保険適用では認められていないため、自費で薬代を含め約1万円かかかる
いずれにしても高熱=インフルエンザではないのできちんと検査で確認して治療すること が必要です。