日本脳炎の幼児期の予防接種は中止されているわけではありません。正確には予防接種と急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の関連性が疑われたため、行政として積極的に接種を勧めることはしない、というものです。しかしこれをおおげさにとらえ都区内、市町村の一部の行政では、よほどの理由がなければ接種しない、としてしまいました。
ところがここにきて、熊本で日本脳炎の患者が発生し死亡例が報告されるにいたりました。新しいワクチンは早くとも再来年(平成20年)ごろだろうといわれていて、現在使用できるワクチンの有効期限は平成19年10月までです。したがって新たな展開がないかぎり日本脳炎ワクチンは平成19年10月以後は在庫なしの状況になります。
日本脳炎のワクチン基礎免疫接種が途中のひとは是非いまのうちの接種をおすすめします。このような情報を前号で報告したのですが、平成18年12月にいたり東京小児科医会より以下の勧告がだされるにいたりました。
現在、日本脳炎ワクチンは約100万人に1人の割合でADEM(急性散在性脳脊髄炎)の発生が危惧されることから、よりリスクの低いワクチンが開発されるまでの間、現在のマウス脳由来の日本脳炎ワクチンの積極的な勧奨が一時差し控えられています。しかし、新しい製造法によるワクチンの認可の明確なめどはたっておりません。このような状況が長引けば、免疫のないこどもたちや免疫が低下した高齢者は日本脳炎発症の危険性が高くなることから、基礎免疫をつけ、追加免疫により日本脳炎を予防することが必要です。3歳以上になられましたら日本脳炎ワクチンを接種することを是非お薦めします。
平成21年6月より新しい日本脳炎ワクチンの使用ができるようになりました。ジェービックVといいます。従来のワクチンはマウス脳由来でADEM(急性散在性脳脊髄炎)との関連が否定できないため、行政が接種の勧奨を止めていました。あたらしいものは培養細胞由来のものでこの危険性を排除したものです。当然チメロサールは含まれていません。
生産本数がまだ少なく希望者にすべて接種はできません。また行政も十分な供給体制が整うまで、接種のすすめはおこないません。このような状況から7歳6ヵ月までに基礎接種を行わなければならない、6歳から7歳のかたが当面の優先接種対象者となります。早めの予約をお願いします。