PDE4阻害剤という皮膚の炎症を防ぐアトピー性皮膚炎に対する治療薬が使用可能になりました。この薬剤は簡単にのべるとリンデロンとほぼ同程度の抗炎症効果が認められるものです。当院で行った治験の印象では、単剤で中等度のアトピー性皮膚炎ではステロイドとほぼ同等の効果が認められています。
アトピーに利用可能な非ステロイド軟こうとしては、唯一の薬剤としてプロトピックだけが認められていましたが、アトピーのステロイド治療が不十分な場合塗布することにより、ヒリヒリ感や痒みが出現し、今一つ使用しずらい側面がありました。
しかしJAK阻害薬という痒みを生じるサイトカインを抑制する軟こうが発売され、発赤などの急性期の皮膚炎を治めたのちに使用すると著効することが判ってきました。ステロイドとこの薬剤を適切に使用することにより、中等度のアトピー性皮膚炎は完全にコントロールできるようになってきました。
さらに6月から使用可能になったPDE4阻害剤には皮膚の炎症をおさえる作用が強く、非ステロイドでありながら中等度の強さのステロイドより優れた作用が認められています。重症のアトピー性皮膚炎にはステロイド軟こうを併用し、中等度、軽症ではこの軟こう単独での使用でコントロール可能になると思われます。
アトピー性皮膚炎の治療に対する考え方が変わってきています。保湿剤やスキンケアーやアトピービジネスにみられる民間療法では、改善が本当にみられるか疑問でした。明らかに改善するのはステロイドの外用剤という現状でした。しかし、ここにきて治療法の進歩にはめざましいものがあります。それは新しい非ステロイドの軟こうの登場です。いままでのアトピー性皮膚炎の治療に苦労されていた方は是非ご相談ください。