ヒトメタニューモウイルス感染症について

RSウイルス様の咳、呼吸困難、熱が続き、肺炎が疑われるが、レントゲンで異常なく、マイコプラズマでもない病気がはやっています。これはヒトメタニューモウイルス感染症ではないかといわれています。白血球はさほど増加しないのに、血沈、CRPなどの炎症反応が強いのが特徴です。

ヒトメタニューモウイルスはサーズで注目されてから知られるようになってきたウイルスでRSウイルスとよく似たウイルスといわれています。ヒトメタニューモウイルスは1から5歳が最も多く、RSウイルスの初感染よりもおそく、後発季節は3月から6月で丁度今頃流行ります。 特に保育園での流行のほか幼稚園での大規模な流行が特徴です。

迅速検査キットが利用できるようになり、インフルエンザ、RSウイルスでもなく、マイコプラズマでもない咳中心の風邪の場合この病気を疑い検査します。鼻からとった検体をうまく利用し1回の検査でインフルエンザ、RSウイルス、ヒトメタニュウモウイルスの検査ができ、子どもの痛い思いを軽減することができるので、この時期の咳のかぜには是非おすすめします。この検査で陽性になってきちんとした病名がつくと、家族はとても安心して治療に集中できます。治療は咳に対する対症療法が中心になり、中耳炎の合併に注意が必要です。

医療機関の一部にはヒトメタニューモウイルスの診断をしても特効薬はないので診断しても無駄ということで検査をしないところもあります。しかし子どもの喘息の90%以上が、RSウイルス、ヒトニューモウイルスが原因で肺の損傷を生じることによるといわれています。従ってこの疾患の急性期にきちんとした肺の損傷を防ぐ治療をすることにより、長期にわたり喘息として治療を継続することを防ぐことができます。アレルギーを検査してもなく、小学校に入るころには治癒する喘息はこのタイプなのです。子どもを診療していく上で大事なことはかかった病気をその都度できるだけ正確に把握しておくことにより無駄な投薬をできるだけ避けることや、次に起きる発熱などの際に迅速にかつ正確に診断できる診療ではないでしょうか。

 

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