この病気は自然感染でよいなどといっていると後悔することになります。流行性耳下腺炎(おたふく)は自然感染による難聴の合併症が意外と多いことが最近わかってきたからです。また小学校でのおたふくの半分はワクチンなどで抗体がある人がかかっていることも判明してきています。アメリカでは麻しんと同様に2回接種を勧めています。2006年12月現在で、WHO加盟192国中109(57%)の国と地域でムンプスの定期接種が行われています。またこのうち86%では2回接種をおこなっています。
合併症について
実際に流行性耳下腺炎にかかると合併症として無菌性髄膜炎があり、流行性耳下腺炎患者の2.4%が無菌性髄膜炎を合併するという報告があります。(文献によって2~10%と幅がある。)また、流行性耳下腺炎患者の200人~400人に1人に脳炎を合併し、脳炎患者の1.4%が死亡するとの報告もあります。 人口動態統計によると、流行性耳下腺炎による死亡者が毎年数名報告されており、平成元年には4名が死亡しています。また、流行性耳下腺炎の後遺症として聴力障害をおこすことがあり、流行性耳下腺炎患者1500~2万人に1人の割合で聴力障害の発生があると報告されています。多くは片側性ですが、難治性です。 思春期以降の男子が流行性耳下腺炎に罹患すると、その9~30%は睾丸炎を併発すると言われています。
流行性耳下腺炎のワクチンは活きた弱いウイルスをうつので、実際に流行性耳下腺炎に軽くかかります。したがって、上に述べたような合併症を起こすことがあります。しかしその頻度は実際に罹るよりずっと少ないといわれています。ワクチンを早めにうつことをおすすめします。